将棋の里見香奈女流四冠が、受験資格を獲得した棋士編入試験を受験することが28日、分かった。日本将棋連盟が発表した。連盟は24日に里見からの受験申込を受理したという。
里見女流四冠は5月27日の棋王戦予選決勝で古森悠太五段に勝利。プロ棋士相手の公式戦の直近成績を10勝4敗とし、「最も良いところから見て10勝以上、かつその間の勝率が6割5分以上の成績を収めること」という規定をクリアしたことで、女性として初めて受験資格を得ていた。一時は「あまり前向きではない」としていたが、最終的には挑戦を決断した。
試験は8月から1か月に1対局、計5局で行われる。試験官となる対局相手は「棋士番号の大きい順から5人」のため、直近でプロ棋士となった徳田拳士四段、岡部怜央四段、狩山幹生四段、横山友紀四段、高田明浩四段の5人。3勝すれば合格となり、順位戦には参加しない「フリークラス」でのプロ棋士となる。
里見女流四冠は2003年後期に女流育成会入りし、史上最短の2期で突破。04年10月に12歳6カ月で女流棋士となった。06年にはデイリースポーツ主催の関西女流プロ大会「第2回きしろ杯争奪関西女流メイショウ戦」(非公式戦)を制し、プロとして初めて大会で優勝した。島根県出雲市在住で、終盤の強烈な寄せに定評があったことから「出雲のイナズマ」の異名も。学生時代はセーラー服での対局も目立ち、常に携帯していた青いタオルとともに話題となった。
08年11月に倉敷藤花を奪取し初タイトルを獲得。その後は最強の女流棋士として君臨し、史上初の女流六冠を達成するなど、歴代1位のタイトル通算48期を誇る。11年から奨励会に在籍し、14年には女性として初めて三段リーグまで進んだが、体調不良のため約9カ月間休養。18年には26歳の年齢制限を迎え、奨励会退会処分となっていた。
里見女流四冠は連盟を通じ、「この度、棋士編入試験受験申込書を提出致しました。全力を尽くしますので、静かに見守って頂けると幸いです。よろしくお願い申し上げます」とコメントを発表。なお、19年に規定が変更され、プロ棋士になっても女流棋戦にはこれまで通り出場が可能となった。