人気アニメシリーズの4年ぶり新作となる映画「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」が11日に公開される。メーンキャラクターとなるのは孫悟空やベジータではなく、孫悟飯とピッコロ。なぜ今この2人を中心に据えたのか-。原作・脚本・キャラクターデザインを担当した鳥山明氏に代わって、集英社の「ドラゴンボール室」室長・伊能(いよく)昭夫氏が狙いを明かした。
新作の構想が生まれたのは、18年12月に公開された前作「-ブロリー」の制作中。前作では悟空と戦闘民族の戦士・ブロリーとの極限の戦闘を描き、全世界興収135億円超えの大ヒットとなった。
当時の鳥山氏との話し合いを振り返り、伊能氏は「『ブロリー』で強大な敵との壮大なスケールの戦闘をやり切っちゃったので次にやるなら違う路線だよね、と。どんどん強さを追い求めていくだけだと限界もあるので、いったん落ち着きたいよねってことでそっちではない方向を考えました」と説明。
「地球でピッコロが活躍する話」とスタートラインを定め「悟空とベジータが強くなり過ぎちゃったので、他の人も頑張ってほしいよねってことで今作を作ったところはあります」と人気がありながらスポットの当たっていなかったキャラを主演に据えた。
94年に月刊誌「Vジャンプ」に配属された伊能氏は以降、ゲーム「ドラゴンクエスト」の担当としてイラストを手掛ける鳥山氏と仕事を共にしてきた。2016年に「ドラゴンボール室」が誕生した際に室長に就任。映画やコミック、ゲームなど幅広く展開される関連作品を統括する。
例えば、地球人のクリリンが中心の話もあり得るのか聞くと「クリリンの警察での活躍を描く密着24時…ってヒットするかな」と苦笑いしつつ「物語は自然発生的にできないとダメ」と力説した。
「鳥山先生がいるのが強みで、原作者がいないと、話を作るためにそこまで行かなくていいところまで踏み込んじゃう。先生の頭の中に大きな世界があって、そのキャラクターが自然に、そろそろ活躍するタイミングというのがある。寝てる子を無理やり起こして、活躍だ!ってことにはならない。ピッコロはまさにそういうタイミングだったんですね」