上島竜兵さんが備えていた〝イジられ王〟ならではの繊細さ すべてを笑いに繋げる超人的能力も

福島 大輔 福島 大輔
勝負ギャグ「チェックメイト」を披露するダチョウ倶楽部
勝負ギャグ「チェックメイト」を披露するダチョウ倶楽部

 お笑いトリオ・ダチョウ倶楽部の上島竜兵(本名・上島龍平)さんの突然過ぎる訃報から1週間が経過したが、その衝撃はいまだに芸能界にも根強く漂っている。記者も在りし日の上島さんを何度も取材したが、中でも忘れられないのが、2015年12月に初めて取材した会見での一幕だ。

 この会見でダチョウ倶楽部の3人は、上島さんが後輩の有吉弘行から「3000円で購入した」という〝勝負ギャグ〟の「チェックメイト」を披露した。「○○なあなたに、チェックメイト!」と指さしながら叫ぶという至ってシンプルなもので、05年ごろに誕生したが、結局は最後まで定着しなかった。

 会見では、質問のため挙手した記者に、それぞれ3人が「チェックメイト」をぶつける展開に。「〇〇」の部分は当意即妙なワードを当てはめて笑いを誘ったが、禿頭の自分が挙手した際には「ツルツル頭にチェックメイト!」と繰り出し、「おいおい、ダメだろ!」などと続いてひときわ大きな笑いが起こった。

 容姿イジりのネタに賛否はあるかもしれないが、会見は楽しく進み、記者自身もまったく嫌な感じはしなかった。それでも終了後、上島さんはこちらに歩み寄り「本当にごめんなさいね」と丁寧に頭を下げてくれた。気にしていなかったこちらもビックリ。「いえいえ、むしろありがとうございました」と返したが、最後まで恐縮した様子だった。芸能界を代表する〝イジられ王〟だった上島さんだからこそ、イジられる側の心境に思いをはせる繊細さと、何があってもしっかり笑いに繋げる超人的な能力が備わっていたのだろう。

 ダチョウ倶楽部の会見には、いつも笑いとともに「ほっこり感」があった。会見終了後の問いかけにも、必ず足を止めて気さくに、かつユーモアたっぷりに応じてくれた上島さん。誰からも愛された男の〝神髄〟を、視聴者よりもほんの少しながら近い場所で感じることができた思い出は、記者生活の中でも一生の宝として残っている。

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