「定年」と向き合う「加藤優」、会社管理職と俳優の二刀流・直江喜一が舞台、音楽ライブ、映画と奮闘中

北村 泰介 北村 泰介
6月に上演される主演舞台「でんすけ」のチラシを手にする直江喜一。会社の定年を前に芸能活動も充実している=都内
6月に上演される主演舞台「でんすけ」のチラシを手にする直江喜一。会社の定年を前に芸能活動も充実している=都内

 TBS系ドラマ「3年B組金八先生」第2シリーズ(1980~81年)で「腐ったミカン」と称された不良少年・加藤優(まさる)を演じた俳優・直江喜一が今、「定年」へのカウントダウンと向き合っている。還暦となる来年1月、管理職として勤務する会社で定年を迎えるのだ。「会社員と芸能人の二刀流」を貫く直江が、よろず~ニュースの取材に対し、芸能活動にかける意気込みと共に「定年後の人生」を語った。

 直江は建設会社「松井建設」東京支店の営業第二部長を務める傍ら、休日や夜間などを活用して芸能活動を続けている。

 「60歳の誕生日が来年1月8日。その翌9日で定年になります。65歳くらいまで、私も延長して会社で働かせていただくつもりですが、やはり『定年』という節目を迎えることによって心境は変わる。幸いにも、うちの社長は『直江がいるとお客さんとの話のネタになる』と言ってくださり、ある意味では会社に貢献できているのかなと。今後も、テレビ出演などは社に申請し、活動は続けます。劇団とバンド活動は私にとって楽しい趣味のような感じ。『金、もうかるだろう』と誤解される人がおられるんですけど、声を大にして言いたい。もうかるわけはありません!好きこそ…でやってます」

 所属する劇団「JAPLIN」の主演舞台「でんすけ」が6月15日から19日までの計8公演、東京・新宿シアタートップスで上演される。2012年以来、10年ぶりの再演となる。主役の田介(でんすけ)はお笑い芸人の道を諦め、工務店に就職。生計を立てながら子供を育て…と、直江の実人生に重なるストーリーだ。

 「笑って泣いて…の芝居です。30歳になる自閉症の息子がいて、娘の夫との関係や周りの人たちとの交流を笑いと涙でユーモラスに届けます。僕の設定は実年齢の59歳。前回、50歳前にやった時とは年齢のギャップを感じます。僕の娘ももう30代ですが、さらに10歳くらい年下の俳優がバリバリやっていて、負けてられないと。稽古は都内の団地にある集会所。若い人は僕のことを『お父さん』という感じでいたわってくれます(笑)。実際、お父さんの役だし、座長でもある。ぜひ、ご覧あれ!劇団代表で演出・脚本の桒原秀一が直江喜一に当て書きした作品でございます。18歳未満は先着40人を無料としました。幅広い層に見ていただければ」

 さらに、多忙な日々は続く。舞台の千秋楽から中1日で都内のライブハウスに出演。「3年B組」の同級生「迫田八重子」役の女優・川上麻衣子と組み、50代のミュージシャンたちと共演するライブ「腐ったミカンの方程式 ~41年目の解答~」(6月21日)が控えている。「前日のリハーサルを入れたら休みなしでキツいですけどね(笑)。真心ブラザーズのYO-KINGさん、昨年の紅白で布袋寅泰さんのバックでキーボードを弾いた(ソウル・フラワー・ユニオンの)奥野真哉さんら、みなさん金八世代。前売り券は6分で完売したらしいです」

 音楽活動といえば、11月27日に自身のバンド「直江喜一とオレンジブレーカーズ」の10回目の単独公演を銀座タクトで開催予定。「サブタイトルが『定年だョ!全員集合』(笑)。バンドのメンバーは大手企業に務めていたり、大学教授だったりで、いち早く定年になっている。『定年秒読み』の私を入れて、これで『全員集合』だと」

 また、出演映画「おいしい給食 卒業」が全国公開中。「2年前に公開された映画の続編。昨年、BSなどで放送されたドラマに続く出演で、私の役は『教育委員』です。金八先生が大好きな作家さんが『加藤優にあえて教育委員を』と(笑)。40年間、『加藤優』というキャラクターが私に付いてくる。こんな俳優はいません。40年前の役がいまだに世代を超えて語り継がれているというのは、恐るべしだなと」。直江は満面の笑みを浮かべた。

 充実した日々。「がむしゃらに仕事をしてきましたが、今後は、仕事のノルマを抱えながらも、ある程度ゆとりを持って、好きなこともやっていければ、自分としては最高にぜいたくな人生だなと。60歳の定年後も満喫していきたいですね」。還暦を過ぎても「加藤優」は生き続ける。

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【舞台「でんすけ」問い合わせ、チケット予約】

CNプレイガイド 0570-08-9999(受付時間帯は10時から18時まで)

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