【コロナ禍以降の洋画に変化が】
2020年2月25日、その年の米アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞を受賞した韓国映画『パラサイト 半地下の家族』でポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホが大ヒット舞台挨拶に登壇した日から、映画来日イベントはコロナ禍に呑みこまれて行きました。
あれ以来、海外の作品を配給する映画会社の苦悩の日々が始まり、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ではイギリスに繋いでリモートでのダニエル・クレイグを始めとするキャストと監督による日本向け記者会見を実施。同じように数々の洋画が、海の向こうの監督や俳優に生配信で出演してもらい、日本向けの映画イベントを成立させました。そんな中、今月に入って、『アネット』でレオス・カラックス監督が来日して舞台挨拶を敢行、その後、HBO maxとWOWOWの日米共同制作によるドラマ・シリーズ「TOKYO VOICE」でアンセル・エルゴートとスタッフが来日するも、ハリウッド映画での来日イベントはまだ叶っていない状態でした。
そして4月13日、遂に『ハリー・ポッター』などの魔法ワールド最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』で主演のエディ・レッドメインとジェシカ・ウィリアムズが緊急来日を果たし、日本のファンの前で映画イベントを開催したのです。しかも今回は明治記念館の庭園を会場に選び、換気対策も考え抜かれた状態で「マスクはしたままで“観客も発声あり”」をアナウンスし、コロナ禍での来日イベントを楽しいものにしようという試み。実は『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズは世界の中でも日本での興行収入は上位に値します。
更に『ファンタスティック・ビースト』シリーズにおいては、前2作全て公開日近くでエディ・レッドメイン含むキャストや監督が日本を訪れ、劇場のステージで法被を着て、ファンの前で鏡開きを行うイベントを実施して来たのです。だから今回もエディとジェシカに法被をプレゼントし、シリーズ3作目というので日本の風習である「三本締め」をエディの吹替を担当した声優の宮野真守と会場に集まったファンと共に体験してもらうという発想。
本イベントの司会を担当しながらコロナ前の華やかだった映画イベントを取り戻そうとしている運営サイドの意思を感じ、一時、コロナ禍であることを忘れる至福の時間を味わいました。
このまま来日が続き、次はハリウッドのビッグスター、トム・クルーズが5月27日公開となる新作『トップガン マーヴェリック』で日本に足を踏み入れ、華やかなニュースが戻ってくることを願うばかりです。