やきいも日本一をかけたアツい戦い「全国やきいもグランプリ」さいたまで開幕

杉田 康人 杉田 康人
「えるろこロド芋!」の蜜爆焼き芋
「えるろこロド芋!」の蜜爆焼き芋

 さつまいもの博覧会「さつまいも博2022」が、23日から27日までさいたまスーパーアリーナけやきひろばで開催される。開幕に先立ち、22日に内覧会が開かれ、同博覧会の目玉イベント「全国やきいもグランプリ2022」の出店20店舗が公開された。

 前回2020年の博覧会には、期間中に5万人が来場した人気イベント。やきいもグランプリは2度目の開催で、第1回は神戸市に本店を持つ「神戸芋屋志のもと」が日本一に輝いた。今回は同店を含む20店舗が出店。来場者には1人につき投票用のコインが2枚配布され、得票数の多い店舗がグランプリ(前回王者・神戸芋屋志のもとは対象外)となる。

 神戸芋屋志のもとの野元篤志さん(42)は、熟成芋のおいしさに魅了され脱サラして開業。オープン3年目でグランプリに輝いた。「日本一のやきいも」「日本一の芋師」の称号を得て売上が倍増したといい、現在2店舗の同店を50店舗まで展開を目指すという。

 主催団体によると、やきいもはねっとり、しっとり、ほくほくの3系統の味に分かれるという。志のもとのやきいもは、シルクスイートという品種を使ったしっとり系。前回のグランプリでは、4日間で2トンのやきいもが完売した。野元さんは「しっとりを通り越してねっとり。砂糖を足した〝いもスイーツ〟ではなく、砂糖を足さない天然の甘さのやきいもで、おいしいものをそのまま出している」と、正統派のやきいもに胸を張る。

 赤いスポーツカーでやきいもを移動販売する横浜市の「えるろこロド芋!」は、今回が初参加。マツダのスポーツカー・ロードスターの後部に薪ストーブによる焼き台を乗せるスタイルが目を引いていた。店主の井上昌さん(31)は「グランプリ獲りに行きますよ」と不敵な表情。ねっとり系のべにはるかを使用し、蜜がアルミホイルからにじみ出るほど焼き上げる「蜜爆焼き芋」で勝負する。「甘さは黒糖。舌ざわりもよく、こだわりがある」と、夜だけで一日100本が売れる商品に自信を見せた。

 参加店舗で最南端となる鹿児島市から出店した「Rest逢夢」のやきいもは、地元・種子島産の安納芋を使用。同店の竹ノ下浩さん(56)は「鹿児島の意地とプライドにかけて初出店した。安納芋は焼くと特においしい。やきいもに甘みを閉じ込めた。お客さんからどんな反応が返ってくるかわからないが、店のPRになれば」と、東都への出陣に緊張感を隠せなかった。

 主催団体の石原健司さん(36)によると、第4次やきいもブームとされる現在の状況は2003年に起こったという。オーブンの進化や、10年ほど前にねっとり系の新種・べにはるかが誕生。「無添加で甘い天然スイーツのやきいもは、健康志向を持つ若い女性に広がった。赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年齢層が楽しめる。ここ数年はねっとり系が人気です」と説明する。

 最近では、冷やしたりバニラアイスをかける「冷やしやきいも」が浸透。寒い季節だけでなく、一年中やきいもが売れる需要も起こっている。やきいもよりアツく、そして甘くない日本一をかけた戦い。石原さんは「冬だけでなく、今後は夏にもイベントを開催したい」と夢を膨らませていた。

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