いつものようにSNSを巡回していると、不思議な楕円形のぬいぐるみが目に留まった。
「ペッてされた後のガムのぬいぐるみ」だそうだ。旨味だけを吸い取られて吐き出されたガムの、あっけにとられたような表情がたまらなく可愛いい…
手足の無いシンプルな造りだが、表情豊かで、寂しそうであり楽しそうにも見える不思議なバランスに魅了される人々は何万人にものぼり、SNSを賑わせた。
他にも、手紙や盆栽など、サメのヒレ(ヒレだけ!)など、「これをフワフワに…?」と驚くものを沢山ぬいぐるみに仕立てているらしい。
制作者のカネヒラさんにお話を聞いた。
ーーぬいぐるみは小さい頃から好きだったんですか?
カネヒラ:グレムリンのギズモのぬいぐるみ「ぎっちゃん」が、子供の頃からずっと私の相棒です。今ではもうかなり中の綿が萎んでいまったのですが…それでも大切にしてます!
――制作を始められたきっかけは?
カネヒラ:元々実家がカーテン屋なのものあり、素材や道具が豊富だったことと、母もぬいぐるみのような何か?を作るのが好きだったので、自然と自分も作るようになりました。 母の作るものも顔つきが可愛くて大好きなんです。
――お母様の何か?も素晴らしいですね!なんとも言えなユルさと可愛らしさがある…。カネヒラさんも、盆栽やガムなど、ぬいぐるみとして見たことないモチーフが多いですが、どうやって決めているんでしょうか?
カネヒラ:ふと頭をよぎったものや、 幼少期の思い出から閃いたりと色々なので、色々ですね。目にしたものをそのまま、「ぬいぐるみにしたい!」と思って制作を始めることもあります。
――制作で1番こだわっているところは、どこですか?
カネヒラ:とにかく可愛い、愛しいと思ってもらえる存在を作りたいと気持ちを込めて作ってます!手触りは心地よく撫でて安心しもらえるようなサラサラフワフワにしています。顔は、単純だからこそ配置など何度もやり直して、これだ!という位置に固定しています。完成したら、もう手放すのが惜しいくらい大切に一匹一匹を作ってるんですよ。
――単位は”匹”なんですね!
カネヒラ:何人とかでも数えたりします(笑)。生き物でないモチーフでも、何となく生き物のように感じながら生活しているのかもしれません。
――ぬいぐるみ=子供のおもちゃ、と思っている大人ってまだ結構いらっしゃると思うのですが、大人だからこそのぬいぐるみの使い方、遊び方のオススメを教えていただけますか?
カネヒラ:大人でも不安な時が沢山あると思うんです。むしろ大人の方が根深い不安がありますよね。例えば学校や会社で辛い事があたり寂しくなったりする時に、鞄の中に小さいぬいぐるみを入れておいて、撫でたり顔を見て落ち着いたり。そんなお守りのような使い方もできると思っています。実際私も新入社員の時はボールを持って会社に行ってたんですよ。ぬいぐるみを持って行ける環境ではなくて…。辛い時は手の上で転がして気持ちを落ち着かせていました。あと、購入されたお客様がおでかけに連れて行ってくれて、一緒にランチや旅行を楽しむ写真をSNSに投稿していただいたりしてます!
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会いたい人にも自由に会えないご時世、分断されてゆく人間関係や仕事への不安を抱え自宅で過ごしている大人も多いだろう。誰にも話せないモヤモヤも、長く生きれば生きるほど溜まる。ロボやお絵描きの方が好きだった、という元子供の皆さんも、運命を感じたぬいぐるみに出会った時には是非お迎えしてほしい。用法容量を守れば、立派な安定剤としてきっと救ってくれるだろう。
カネヒラさん関連情報
3月1日~15日、 渋谷PARCOニュースタアにてポップアップ開催予定
カネヒラTwitterアカウント:https://twitter.com/ simainusima
Instagramアカウント:https://www.instagram.com/ kusouapartment/