今年7月、東京都議選期間中などに無免許運転を繰り返したとして、道交法違反の罪で在宅起訴され議員辞職した、元都議の木下富美子被告の判決公判が15日、東京地裁で行われ、懲役10月、執行猶予3年(求刑・懲役10月)の判決が言い渡された。当て逃げしたとする過失傷害と事故不申告の書類送検容疑は不起訴とされた。
木下被告への量刑について、弁護士法人・天音総合法律事務所の正木絢生代表弁護士がよろず~ニュースの取材に対応。道交法違反としては、異例の重さであると解説した。
正木弁護士は「道路交通法単体で罰金以上の刑罰が下されることはあまりありませんが、それは、摘発のきっかけが他の事故と合わせて摘発されたり、無謀な運転をする人が免停になってそれ以上運転できなくなるという事情があると思われます」と説明。「今回の案件は、繰り返し免停をうけ、さらに候補者・都議としての立場があるにもかかわらず無免許運転を複数回行っているという、非常に悪質な事案」と断じ、「懲役10月という量刑はかなり重いと言えますが、罰金では済ませられないと考えたのは当然の判断といえます」と量刑の理由を慮った。
執行猶予が付いたことについては「一般論として、極端に重い罪を犯さない限り、初犯で執行猶予がつかない実刑判決が下りることはまずありません」とし、想定内であると解説。実刑になるかどうかで大きな考慮要素を「被害者がいるか」「被害の程度」「前科があるか」「前科が罰金か懲役か」と挙げ、「初犯で実刑判決が出るのは、被害者がおり、被害が重大であり、被害弁償ができていないという事例です。被害者がいない薬物犯では初犯はまず執行猶予となるといわれています。本件も被害者がいるわけではなく前科もないとすると、一回で実刑になる事案とは言い難い」と分析した。
その上で、「懲役10月に対して執行猶予3年というのは、やはり通常より長い。悪質だと判断されている証左であり、次に無免許運転を行った場合、今度こそ実刑判決も視野に入ることになります」と、改めて量刑の重さを強調。「一般常識と照らしても、ここまで非難を浴びながらさらに違反を繰り返したなら、懲役刑にされても仕方がないといえるのではないでしょうか」とした。