イーロン・マスク氏(50)が、「未来のノアの方舟」のように火星へ動物や人間を運びたいと考えているそうだ。米自動車会社テスラCEOのマスク氏の夢は、宇宙船で火星に到達し、最終的に銀河系の「自立した都市」を作ることで、そのビジョンを実現するためには、宇宙空間に動物を持ち込み、火星で繁殖させる必要があるという。マスク氏のアイデアは、堕落した人間達を懲らしめようと神が起こした大洪水から聖人ノアが家族および地球の生物と共に救われたという旧約聖書の「ノアの方舟」の物語に触発されたもののようだ。
タイムズ誌のインタビューでマスク氏は、「全体的な目標は、生命を多惑星型にし、人類が宇宙を利用する文明になることを可能にすること」「その次に大規模な目標は、火星に自立した都市を建設して、そこに地球の動物や生物を連れて行くこと。未来のノアの方舟のようなものだ。2匹だけだとちょっと変な感じだから、2匹以上連れて行くけどね」と語る。
人間だけでなく動物も火星に連れて行くというマスク氏の考えは科学的に理論に沿っており、人間は他の生物との生物圏の一部として存在する必要があるとされる一方、地球の動物や人間は酸素を吸わないと生きていけないため、主に二酸化炭素で構成されている火星の大気は植民地化計画にとって大きな問題となっている。
マスク氏のスペースXプロジェクトは、今後5年以内に火星にロケットを着陸させるという計画で、今月9日、米連邦通信委員会(FCC)はスペースXに対し、2022年の第1四半期にスターシップロケットの軌道実証・回収実験を行うライセンスを与えた。これにより、テキサス州ボカチカにある同社の実験施設から、2021年12月20日から2022年3月1日の間いつでも軌道打ち上げが許可された。マスク氏は現在、同ロケットの打ち上げを可能にさせる、米連邦航空局(FAA)による環境アセスメントの完了を待っているところだ。
そんなマスク氏は、米国政府の全米アカデミーが開催したオンライン会議で、「最初の軌道打ち上げまであと少しです」「1月に行いたいと考えています」と、軌道への初飛行は22年の最初の3カ月、可能性としては1月になると明言していた。