「考えた人すごいわ」「わたし入籍します」”変な名前”のパン屋が急増 仕掛け人が明かす名付けの鉄則

 「考えた人すごいわ」「わたし入籍します」など、一風変わった名前の食パン専門店が全国各地で開店している。これらの店の開業をプロデュースをするのは「ジャパンベーカリーマーケティング株式会社」(通称・JBM)。手がけた店舗は毎週増え続け、360店舗以上にものぼる。代表の岸本拓也氏が、一見奇抜にも見える名付けの鉄則を明かした。

 同社がプロデュースした店舗の多くは風変わりで目を引く名前を掲げる。このネーミングの法則について「お店が持つストーリーや体験を僕らなりに表現した時に、結果的に個性的な内装や名前になったりする」と岸本氏は説明した。

 同社が手がけた食パン店「わたし入籍します」(大阪府・枚方市)は同市役所の近くに本店を構える。岸本氏によると、この店名は婚姻届を提出するため役所を訪れるカップルを想定したほか「おいしいパンと末長く付き合う=パンと入籍」という「架空のストーリー」を思い描いたものだという。「おいしさに積み上げられた体験」をモットーに、依頼者の経歴や店を構える「街」を見ながら名前を付けている。

 「『1つの町に1つのパン屋さん』というのが一番理想的な形」と岸本氏。遠方から客を集めるのではなく「街の中で共存されるベーカリー」を目指す。取材中、筆者の出身地や居住地の話題になると、その土地で岸本氏が手がけた店の名付けの理由や店舗の周辺環境の話が間髪入れずに返ってきた。360店舗以上をプロデュースしたが、全ての店について覚えているという。

 JBMはベーカリー開店を目指す人へパンの作り方や販売促進の手法を指導し、店をプロデュースする。サービスの主な対象は製パン未経験者で、約2週間のレッスンで製造方法を学ぶ。岸本氏によると、生地をこねるところから発酵・焼成まで大部分の作業を機械が担い、未経験者でも「理論やメソッドをしっかりレクチャーすれば間違いなくできる」という。

 1店舗あたりのプロデュース料金は平均約500万円。基本料300万円に加え、店名を名付けるために約50万円、内外装など店舗デザイン料が約100万円(物件により変動)、紙袋や看板等に使用するイラスト制作料も加わる。出店者は物件の取得費用や機械設備費、施工費なども別途負担する。

 岸本氏はネーミングを担当するだけでなく、店舗の内外装やイラストなども自ら原案を考えるという。岸本氏が生み出す店名やデザインを「奇抜ではない」と考えるオーナーからの依頼が多いと話し、「このオリジナリティに共感していただいているんだと思います」と胸を張っていた。

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