「ハズレ馬券トランプ」が話題 多数のドラマが散った結晶 競馬場の「あの光景」がフラッシュバック

橋本 ダイスケ 橋本 ダイスケ

昨今、競馬が大きなブームを迎えている。

スマートフォン用アプリ「ウマ娘~プリティーダービー~」の大ヒットも影響し、従来の競馬ファンのみならず、今まで競馬に触れなかった若者を巻き込んでいるのだ。

そんなブームの中、馬や騎手と言った花形ではないが、どこの競馬場でも見かけるあるモノをモチーフにしたグッズが注目を浴びている。それが今回紹介する「ハズレ馬券トランプ」だ。

「ハズレ馬券トランプ」は、重賞で一番人気に関わらず大敗した馬をモチーフにした、人によってはトラウマ級の思い出にしかならないモノをトランプにしたユニークなグッズ。馬の名前は全て架空だが、ファンならば名前のニュアンスとレースの種類で「あっ…」となってしまうモノばかりだ。

この「ハズレ馬券トランプ」を製作したのは、もにゃゐずみさん(@Monyaizumi)。過去にも様々なユニークなカードゲームやグッズを製作したデザイナーだ。今回、もにゃゐずみさんに取材を申し込んだところ、快く応じてくれた。

橋本:ハズレ馬券を主役にと言うのは、非常に面白い着眼点だと思います。ハズレ馬券をトランプにしようと着目したキッカケは?

もにゃゐずみ:ふと初めて競馬場に行ったときのことを思い出したのがきっかけです。当たり前のように床や机に誰のものかもわからない馬券やマークシートが散乱している「あの光景」が非常に印象的でした。

特に馬券はすべてハズレ馬券なので、グシャグシャにされているもの、ビリビリに破かれているものなど、1枚1枚に顔も知らない誰かの「希望」からの「絶望」のドラマが落ちているのがおもしろいと思いました。

ポイ捨てを肯定するつもりはありませんが、改めて考えると他ではなかなか見られない唯一無二の光景だなと思い、この風景をゲームとして落とし込んで体験にできないかと考えました。

橋本:確かに多数のドラマが散って行った結晶ですからね。今回、Twitterで話題になった後の反響はいかがですか?

もにゃゐずみ:思っていたよりみなさんに共感を持っておもしろがって頂けていて、ありがたい限りです。今回のモチーフに関して、あの光景を競馬の一つの持ち味だと思っている人が多いことがわかりました。

最近の競馬場は従業員さんの努力と利用客の意識変化もあってか、少しずつ綺麗になっているという話も耳にします。個人的には、今回の作品はかつての競馬場の軌跡として愛されるものになってくれればと思っています。

橋本:現在は競馬場も家族で遊べたり、デートスポットにもなっていたりで改革されていますからね。実際の重賞をモチーフになさってますが、もにゃゐずみさんも競馬に興じたりなさってるのでしょうか?

もにゃゐずみ:競馬は大学生のころ友達に誘われたことをきっかけに毎週のようにやっていた時期がありました。今はほとんど見るだけか重賞の際に記念馬券を買う範囲に留まってます。

橋本:競馬は観戦だけでも熱いドラマがあって楽しいですからね。では、このハズレ馬券トランプならではのオススメの遊び方や使い方はあったりしますか?

もにゃゐずみ:トランプゲームの中では、個人的には大富豪がおすすめです。「ハズレ馬券で大富豪を目指す」ってなんかもうコンセプトから矛盾しているので。ババ抜きとかもいいと思います。

競馬友達と遊ぶ、競馬好きな人にプレゼントする、などといった方々をはじめ、「とりあえず上に投げてばら撒きたい」と破産者の気分を味わうためだけに購入されている方もいて、ご購入いただいたお客様からは様々な声を頂いています。トランプというものを少し拡張できた感覚がうれしかったです。

橋本:僕もジョーカー図柄のゴールドをばら撒いて、120億円をチリ紙にした瞬間の再現をしたいですね(笑)。もにゃゐずみさんは他にも廃課金USOやわれのものシールなどの面白いグッズが多数ありますが、今後も新たなグッズの着想はありますか?

もにゃゐずみ:年内にもう一点発表できる方向で進行中ですが、未定です。

グッズというより、「作品」としての着想は現時点でいくつかあります。まずは皆さんが見て聞いて楽しめる作品を作ることを優先に、そこから作品の性質によってさらに手に取ってみたくなるもの(グッズ)を目指しています。みなさんの手まで届く作品をなるべく多く出したいですね。これまでのものも含め、手に入る作品はすべてウェブショップ「MONYA」にてご購入いただけます。

基本的なスタイルとして、ゲリラ的に発表、商品化しているので、これ以上の内容はお話しできません、すみません!

◇ ◇

もにゃゐずみさんはハズレ馬券トランプ以外にも、課金カードによく似たデザインのカードゲーム「廃課金USO」等の面白いグッズを展開している。今後もその独自の着想に期待したい。

2021年もあと少しとなった年の瀬。年末には今年最後の重賞、有馬記念が控えている。

迫る有馬記念をテレビで観戦しながら、このハズレ馬券トランプで家族とこたつを囲み、大富豪を満喫してから大貧民が馬券をばら撒く、そんな休日の団欒も楽しそうなものだ。

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