謝罪より自己弁護&正当化を優先した木下富美子都議 11月分の議員報酬は受領も【記者の目】

福島 大輔 福島 大輔
木下富美子都議
木下富美子都議

 7月に無免許運転で事故を起こし、道路交通法違反で在宅起訴された東京都議会の木下富美子議員が22日、都議会議長に辞表を提出し、辞職した。木下氏は提出前に都庁で会見し、議員辞職を表明。都民、有権者らに向けて謝罪はしたものの、基本的には自己弁護に終始した会見という印象だった。

 木下氏は質疑応答の前に、自ら用意してきた〝台本〟に沿って弁明。その内容は「出席できなかった間の議員報酬」「都議として尽力したいと考えてきた仕事」「辞職勧告決議」「説明責任」「辞職の決断」の5点だったが、その中で圧倒的に時間を割いたのが、自身の仕事についてだった。この日の会見の趣旨としては、最も必要性の薄い事案。言い方は悪いが、「聞かれてもいないこと」を辞職会見の場で蕩々と述べる姿は、理解に苦しむものだった。

 また、事故については「不起訴となった」とし、公表が遅れたことには「当て逃げだと気づいていなかった」「警察の聴取を受けていて公表する時間がなかった」などと釈明した。だがその前に、免許を失効していることを知りながら運転をしていた事実は消せない。法律違反、つまり犯罪を有権者に隠して投票日を迎え、当選してもなお隠蔽していたことは紛れもない事実。事故の発生は、その〝程度〟がひどくなったに過ぎない。木下氏は「公人としての『リスクマネジメント』ができておらず」と発言したが、起こした不祥事を「リスク」と片付ける規範意識の薄さにも驚かされた。

 事故発覚以降は雲隠れしていた木下氏は、11月9日には登庁し、正副議長に経緯を説明。公営事業委員会にも出席予定だったが、他会派の反発で流会となった。社会通念上、議員としての活動実績は「0」だと考えられるが、会見では「9日は議会に出た」と主張し、11月分の議員報酬は受け取る可能性を示唆した。この件について報道陣から質問を浴びると、明らかに不快な表情を浮かべ、語気を強めて回答した。

 会見の終盤になるにつれ、ため息が増え、苛立っている様子が徐々に明確になった木下氏。身から出たさびで辞職に追い込まれた状況を「理不尽」と言い切り、高齢の父親の話題も出す〝被害者意識〟を見るに、やはり謝罪よりも自己正当化を優先したと感じざるを得なかった。

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