SNSでの誹謗中傷を減らすことを目標として今年5月に設立された一般社団法人「この指とめよう」が、活動を停止したことが分かった。アドバイザーを務めるジャーナリストの佐々木俊尚氏が自身のツイッターで明らかにした。同法人は公式サイト、公式ツイッターともにすでに削除している。
佐々木氏は「代表から活動の停止やサイト・アカウントの削除、その際にあらためて告知はしないという連絡を受けた」と説明。その上で「代表の小竹さんが炎上事件以降非常にメンタルを病んでしまっており、公に発信できるような精神状態ではないからです。しばらくは本業の仕事もできない状態に追い込まれてしまっていたようです」と、アドバイザーである自身が経緯を説明する理由を示した。
「この指とめよう」代表理事を務めるコピーライター・小竹海広氏については、同法人の発足直後、過去に自らが人気子役の実名を挙げた上で「死ね」とつづるなど、他人を誹謗中傷する投稿を行っていたことが発覚。小竹氏はツイッターで謝罪していた。
佐々木氏は最近、オンラインミーティングで小竹氏と話したことを明かし、「代表はこの時点でも『この指とめようを批判したのは多くが匿名のネットユーザーで、著名人の批判はほとんどなかった』という旨の発言があり、『ああこの人いまも全然わかってないなあ』と私もガッカリしました」「この認識では誹謗中傷をやめようという運動をする資格はないと正直思います」と、小竹氏への強い失望感を表した。
一方で「とはいえ、そういう認識の甘さがあるからといって、精神が病んでしまっている人をさらに追い込んでいいわけではないと思いました。『誹謗中傷した人を罵倒するのも、誹謗中傷です』(「この指とめよう」の屋外広告)」ともつづり、一定の理解も示した。
「この指とめよう」は今年5月25日、小竹氏が発起人となり発足。2020年10月28日からスタートしたクラウドファンディングによるメッセージ広告「この指とめよう」から派生したプロジェクトで、25年までの活動目標として「誹謗中傷ツイート件数を半減」「協賛企業数100社以上」「啓発図書の児童図書認定」を掲げていた。アドバイザリーボードのメンバーには、佐々木氏の他にジャーナリストの津田大介氏やブロガーのはあちゅう氏らが名を連ねた。
今年1月には立憲民主党の蓮舫参院議員が、同団体の屋外広告をPRする小竹氏のツイートを引用リツイートし「SNSでの抽象誹謗が減りますように」とコメント。これに小竹氏が「蓮舫さん、いつも応援ありがとうございます」と返信する一幕もあった。なお、クラウドファンディングでは321万6386円の支援金を集めていたが。佐々木氏によると、東京・渋谷での屋外広告の掲載のために行ったもので、支援金は屋外広告の制作と掲載の費用に充てられたという。