架空の水族館のホームページがリアルすぎて話題に アニメ「白い砂のアクアトープ」

松田 和城 松田 和城

 現在、TOKYO MXなどで放送中のアニメ「白い砂のアクアトープ」。作中に登場する架空の水族館「がまがま水族館」のホームページが、ネットを中心に「リアルすぎる」「ここまで作り込まれているのがすごい」と話題になっている。同作のプロデューサーである藤野麻耶氏が取材に応じた。

 ホームページを開くと、水族館について、お知らせ、館内案内、開館時間・料金、アクセスといった、一般的な現実の水族館と同様に詳細が掲載されている。

特に「館内案内」では、どの水槽に何の魚がいるのかまで細かく記載されている。背景には、同アニメを制作したP.A.WORKS社がアニメ本編用に制作した”緻密な“設定があった。「監督含む制作スタッフの作品へのこだわりの1つなのですが、取材や監修を何度も重ねて、各コーナーや展示されている生き物の種類や配置が、実在の水族館と齟齬ない程に、計算された設定でした。なのでそれを元に、あのリアルな館内地図を作成することができました」と明かした。

 物語と連動した「お知らせ」も注目点。水族館の閉館に伴い、営業最終日の様子が描かれた第12話の放映後、ホームページ内でも「がまがま水族館閉館のお知らせ」と更新された。同作のメインキャラクター・海咲野くくるを演じる、声優・伊藤美来も「がまがま水族館のホームページに…閉館のお知らせ…リアルすぎる…!」とツイッターを更新し、閉館を惜しんだ。

 藤野氏は、「私自身も架空の水族館だと分かっているのに、あの閉館のお知らせをホームページで改めて見た時はとっても寂しくなりました。キャストの皆さんからもファンの皆さんからも閉館を惜しむ声をたくさんいただいて、「がまがま水族館」は多くの方に愛された本当に素敵な水族館でした」と話した。

 作品の舞台は沖縄県南城市。水族館で働く18才の女子高生・海咲野くくると、東京で居場所をなくし、逃避行した元アイドル・宮沢風花の2人の絆や葛藤、成長の様子が水族館での仕事を通じて描かれる。作中のキャラクターは、良いところも悪いところも少し歪で“リアルな人間味”が出るように制作スタッフがこだわり抜いたという。「くくるや風花たちが私たちと同じ世界に同じように存在していて、悩んで泣いて、それでも前を向いて歩いているのだと、ファンの皆様にも現実世界と地続きであるように想像してもらえたらいいなと思いました。そこで彼女たちが働いている「がまがま水族館」のホームページを作れないかな、となったのがきっかけです。」と答えた。狙い通り、視聴者の作品への没入感が深まる結果となった。

 リアルに作りすぎた結果、印象的な意見も。アニメを知らない人がこのホームページを目にした時、「実在する水族館が閉館してしまったのでは、と水族館ファンの方が思わないか心配」という感想をもらったという。「所在地を見てくだされば実在しないことは分かるはずなのですが、アクセスは詳細に記載してあるので、たしかにそういう方がいるかもしれない。心配させてしまったら申し訳ないです…と思いました」と振り返った。

 9月30日からは、第2クールの放送が始まった。藤野氏は、見どころに“社会に揉まれるくくる“をあげた。物語の舞台は、閉館した「がまがま水族館」よりも規模が大きい水族館「アクアリウム・ティンガーラ」へと移る。くくるは、高校卒業後、社会人と立場が変わり、これまで「家」のようだった水族館に「職場」として向き合う。「誰もが働いていれば何かしら壁にぶつかる瞬間があると思っています。それは苦手な業務だったり、職場の人間関係だったりすると思うんですが、そういう壁をどうやって彼女が乗り越えていくのかを、一緒に応援していただけたらうれしいです」と呼びかけた。

がまがま水族館のホームページはコチラ

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