レトロゲームがひそかなブームになっているようだ。
コロナ禍でステイホームが続く中、仕舞ってあったゲームを引っ張り出してプレイしたら案外ハマってしまった…という流れのようだが、なにぶん古いものだけに機体に不具合が起こるのは日常茶飯事。修理にも出せないため泣く泣くプレイを諦めてしまうという例も増えているようだ。
今、SNS上ではそんなレトロゲーマーたちの救世主「小さなレトロゲーム機の修理屋さん」が大きな注目を集めている。
同店は7月に「開業したものの依頼がない」と窮状を訴えるツイートを投稿したところ6000リツイート、7000いいねを超える反響に。一躍レトロゲーム界隈の有名店となった。Twitter上での質問に1件1件丁寧に答える光景は筆者にとっても心動かされるものがあったが、どのような思いでこの仕事に取り組んでいるのだろうか。店主の上野さんに話を聞いた。
野中比喩(以下「野中」):レトロゲームの修理技術を習得した経緯を教えてください。
上野:元々機械いじりは好きでした。高校は工業の電気系で、卒業後は大手家電メーカーに4年半勤めていました。そこで修理のノウハウを一応習っております。仕事は受付でしたけど、ゲームやパソコンは当時から好きでした。
当時よく読んでいたのが、バックアップ活用テクニックですね。ゲームでよく修理していたのはファミコン系になります。具体的にはACアダプター、RFスイッチ、コントローラーのゴムの交換、デイスクシステムのベルト交換などです。改造の方は、ファミコンAV端子出力化ですね。多機種を修理するようになって8年くらいです。
野中:マニアックな機種の修理は大変じゃないでしょうか?
上野:そういったものはSNS等で知り合った人との交流から、いろいろ情報をもらいながら修理しております。もちろん自分でも研究はしております。当初にくらべると修理できる数は増えました。
野中:修理費用はどれくらいなのでしょうか?
上野:初めに勤めていた30年前の工賃に+αという形でやっています。部品に関しても地元のショップだけでは揃わないので、通販を利用しております。部品代がやや高いです。ビデオデッキの修理費を参考にしております。車の修理費みたいに工賃を値上げすると、人が来なくなりますから。
野中:良心的な設定なんですね。
上野:元々は副業でした。協力店も最高で3件です。友人の後押しで本業でやってみてはということで、開業に至りました。1か月30件の修理、改造を目標にしております。売上目標も20万円と低い設定です。
投稿がバズったこともありTwitterのフォロワーは開始時に比べ8倍に増えましたが、まだまだ食べてはいけていません。一人でやっていますので、なるだけスピーディーに直せるよう努力しています。
◇ ◇
「人と密になることもありませんので、お近くの方はぜひ気軽に相談にいらして欲しいです」と上野さん。見積りは実際に見てみないとわからないことが多く、部品が限られているので完全に治らないこともあるが「真摯に向き合っていきます」ということだ。ご興味のある方はぜひお問い合わせいただきたい。
「小さなレトロゲーム機の修理屋さん」関連情報
所在地:広島県広島市安佐北区口田南7丁目13-12
Twitterアカウント:https://twitter.com/himajinAV