新機軸の本格恐竜マンガ「ディノサン」単行本が発売 「モンスター」ではなく「生物」として描く

福島 大輔 福島 大輔
「ディノサン」第1巻(C)Itaru Kinoshita/shinchosha
「ディノサン」第1巻(C)Itaru Kinoshita/shinchosha

 今年3月発売の「月刊コミックバンチ」2021年5月号から連載がスタートした、本格派恐竜漫画「ディノサン」の単行本第1巻が9日、発売された。

 同作は「恐竜が絶滅しなかった世界」を舞台に、人類がどういった新たな未来を発掘するかを問いかける作品。1946年に生き残りが発見され、繁殖や遺伝子操作によって現代に再生されることとなった恐竜だったが、ある〝事故〟をきっかけにブームが下火となる。そんな中、経営難の恐竜苑「江の島ディノランド」に入社した新人飼育員・須磨すずめと恐竜たちの触れ合いを描いている。

 世界的大ヒット映画「ジュラシックパーク」シリーズなど、「現代に恐竜が現れたら…」という舞台設定の作品は多い。そうした作中では、主に恐竜たちは人間を襲うなど圧倒的な存在として描かれていることがほとんどだが、同作は「モンスター」ではなく「生物」としての恐竜にクローズアップ。「甘えるギガノトサウルス」「角の折れたトリケラトプス」「熱中症になるトロオドン」「痛風のディロフォサウルス」といった親しみやすいキャラクターが続々と登場する。

 監修は、名古屋大学博物館の講師・藤原慎一氏が担当。現代に生息している動物の骨の形と運動機能の関係を調べ、そこから見つけた法則を絶滅動物に当てはめることで過去の生物の生態を復元する研究を行っている学者だ。「このワクワク、大人も子供も関係ない。もしもを叶える恐竜飼育物語!」をコンセプトに、普通の動物として飼育される恐竜たちの生態を描き出す。

 昨今は、国内でにわかに恐竜への注目が集まっている。8月には福井県立大恐竜学研究所が、ティラノサウルスの下顎に神経が集中しており、触覚センサーの役割を果たしていた可能性があると発表し、話題となった。今月8日には、ウズベキスタンで発見された化石が、ティラノサウルスより前に生態系のトップに君臨していた大型肉食恐竜の新種であると、筑波大と北海道大などの研究チームが発表。こうしたムーブメントも、同作の単行本化に〝追い風〟となりそうだ。第1話はhttps://www.comicbunch.com/manga/bunch/dinosan/view/01/で試し読みできる。

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