お笑いタレントで元パワーリフティング日本代表・なべやかんが所属する「ベストボディ・ジャパンプロレスリング」(BBJ)の3周年記念大会が7月に都内で開催された。なべはメインイベントでCEOの谷口智一、若手の島谷常寛と組んで初代BBW6人タッグ王座を戴冠した。谷口CEOから「うちのエース」と評され、「引くに引けなくなった」という、なべのプロレスにかける思いを聞いた。
BBJは「身体づくりの文化を日本中に広めたい」という趣旨で、鍛えられた肉体美を競うコンテストを全国で開催してきたが、元DDTプロレスの谷口代表が「プロレス界でも健康美や肉体美を活かして活躍する選手が出てきてもいい」と、2018年8月に旗揚げしたプロレス団体。なべはDTTと共に同団体に参戦し、50歳の節目を迎えた昨年、BBW無差別級王者としてプロレス人生初のベルトを巻き、今年はBBWタッグ王座にも輝いた。
正規軍の谷口組は、「ダンカンプロレス軍団」(DPG)の諸橋晴也、大和ヒロシ、鈴木悟という実力者チームと対決。DPGとは、1987年12月にビッグバン・ベイダーを擁して新日本プロレスの両国国技館大会に殴り込んだ「たけしプロレス軍団」出身のダンカンが結成したヒールユニットだ。なべにとって、たけし軍団時代の先輩でもあるダンカン総帥との因縁も注目された。
なべは場外戦でダンカン総帥に頭を踏みつけられながらも、諸橋をアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げ、島谷と場外プランチャの編隊飛行を披露するなど奮闘。谷口に襲いかかるダンカン総帥を背後から抱え込んで動きを止めるなど、アシストにも徹して勝利に貢献した。
試合後、敗れたダンカン総帥はマイクを手に「TOKYO2020、おもてなしだよ」と開幕した東京五輪にかこつけて強がると、なべは「ダンカン、バカヤロー!」と殿(ビートたけし)の決めゼリフで応戦。「なにがおもてなしだよ!こっちは『表無しの裏口』なんだよ!」と自虐ネタを交えて舌戦を展開した。
タッグ王座は失っているものの、これで無差別級王座と合わせて二冠王となったなべは、よろず~ニュースの取材に対して「ベルトが2つある分、タイトルマッチをやらなければならないので正直しんどいですよ。先日、DDTさんの試合に出た時、腰をやっちゃいましてね。パワーリフティング時代から腰の軟骨がつぶれていて、この試合も出られるかどうかという状態だった。タイトル戦が決まっていたから、死ぬ思いでやりました」と明かした。
世界的に活躍する日本のヴィジュアル系ロックバンド「DIR EN GREY(ディル・アン・グレイ)」のギタリストで、なべと親交のあるDie(ダイ)も応援に駆け付け、記者の取材中に激励の言葉をかけて会場を後にする一幕も。その活動の幅広さから人脈も広い。
プロレスラーにして、芸能界きってのコレクター。腰に爆弾を抱えながらも、なべは「プロレスも周囲はすごい人たちばかりですから、道場での練習、ジム通いや筋トレは欠かさない。一方で、ゴジラのことを毎日考えたり、いろいろとグッズを買ったり、映画館でいろんな新作映画も見なきゃいけない。忙しすぎて、体一つじゃ足りないです」と充実した笑みを浮かべた。