声優、歌手の富田美憂がこのほど、よろず~ニュースのインタビューに応じ、今月30日に発売される自身初のファーストアルバム「Prologue」の制作時のエピソードを語った。「期待されるのが苦手だった」と話す彼女がソロアーティスト活動を通じ、自分に自信を持てるようになったことを打ち明けた。
「キャラクターを背負っていない”富田美憂”に自信がなかった」
声優としてデビューしたのが14歳。当時、高校生での声優活動すら珍しい中で、自身は中学生だった。「いろんなところで『富田さんは若いのに本当にしっかりしていますね』って言われました。でもその言葉がありがたかった反面、プレッシャーになっていたんです。しっかりしてなきゃいけない、というような窮屈な感じがしていて…」と振り返った。
声優・富田美憂として、ユニット活動などで多くのステージに立ってきた。その分、初めて1人でステージに立つことが決まったときに孤独を感じたという。「キャラクターを背負っていない富田美憂にちょっと抵抗があって自信がなかったんです。私一個人をどれくらいの方が応援してくれるのか不安だった」と心情を吐露した。
しかしアーティスト活動を始め、そんな不安を払拭する忘れられない瞬間があった。デビューシングル『Present Moment』の発売にちなんで2019年11月15日、お台場で開催されたイベントで富田は涙した。「みなさんが親みたいに私のデビューを祝ってくださった。アップテンポな曲を披露したんですけど、盛り上がるというより噛みしめるように聴いてくださって…。1人の富田美憂っていう人間としてすごくお客さんに受け入れていただいた実感があった。人生でもトップ3に入るくらいの思い出です」と語り、「こんなに自分を応援してくれる方がいるのに、緊張なんてしてられないなって思った。ソロ活動を初めて、メンタル面でも人間的にも成長できた」と自信になった。
ファーストアルバムは「CDというより作品」
今回のアルバムについても、逆に「期待して欲しい」と自信をのぞかせる。タイトルから収録曲の世界観やコンセプトも全て考え、制作期間も半年間に渡ったという。「自己プロデュースに近い何かが出来た。もう直すところないよねっていうくらいこだわれた。今回のアルバムは『これが富田美憂です』って打ち出せる1枚。CDっていう言い方よりは作品に近い」と熱弁した。
また、アルバム制作が始まった昨年の秋頃、自信を裏付ける出来事があった。「リード曲となっている『ジレンマ』の収録が終わったとき、デビュー前から私の歌を聴いてくださっていたコロムビアの方と会ったんです。もう8年のつきあいになるんですけどシンプルな言葉で『歌うまくなったね』と言われて、めちゃくちゃシンプルな言葉だけど何よりも褒め言葉だなって思って…」と嬉しそうに話した。
今回、興味を持っていた作詞にも初挑戦。「作家さんの経験や人柄などを知れるのが曲の楽しさ。いろいろな経験を積んで自分自身の言葉で書けたら、すごく面白いことができるんじゃないかなと思っていました」と明かした。レコーディングをこなしながら、作詞期間は2か月に及んだ。作詞経験のなさを逆に強みとし「“作詞 富田美憂”としてクレジットされるという意味を考えたんです。私には作家さんのようなおしゃれで存在感のある詞は書けないかも知れないけど、逆にここまでまっすぐな詞は作家さんじゃ書けないかなって思った。タイトルの『Letter』の通り、”手紙を書く”みたいなストレートな表現で曲にできたら富田美憂になった意味をちゃんと理由としてつけられる。結果的にストレートな言葉はみなさんに刺さると思ったので、まっすぐに皆さんへの言葉をアウトプットしました」と言葉に力を込めた。
ワンマンライブ「富田美憂 1 st LIVE~Prologue~」が9月26日に開催する事も発表された。「人生かけたくらいの熱量を込めています。皆さんの心を動かせるような全10曲になっているとはっきり言えるくらい私はこだわったつもりなので、アーティストさんがいっぱいいる中でも気持ちだけは負けてないぞっていうのを感じていただければ」と表情を引き締めた。
◆富田美憂(とみた・みゆ) 1999年11月15日生まれ、埼玉県出身。アミューズ所属。2014年「声優アーティスト育成プログラム・セレクション」でグランプリ受賞。2016年、テレビアニメ『アイカツスターズ!』の虹野ゆめ役で初主演を果たす。その後、『ガヴリールドロップアウト』ガヴリール役『メイドインアビス』リコ役で主演を務めるなど多くの作品に出演。20歳を迎えた2019年11月に、1stシングル「Present Moment」(アニメ「放課後さいころ倶楽部」オープニング主題歌)でソロアーティストデビューを果たした。