よろず~ミステリークイズ「毒舌家の死」ある言葉の意味 #11

白峰 良介 白峰 良介

 テレビに出る有名人が殺されたとあって、事件が起きた家の前は、マスコミと野次馬でごった返していた。
 加茂警部は、人波をかきわけるようにして、現場へと足を踏み入れた。
 「マスコミ連中に小突かれまくったよ…」
 警部の文句にとりあわず、根木刑事が報告を始める。
 「被害者は、伊谷伸子・45歳。弁護士ですが、テレビのコメンテーターとして活躍してました」
 「知っているよ。毒舌家で、芸能人やタレントにひどい『あだ名』をつけるので有名だ」
 「死因は撲殺で、部屋にあった花瓶で頭部を強打されてます。そして、なぜか被害者は、水仙の花を握って死んでました」
 「水仙の花?」
 「犯行時、花瓶に活けられた花が床に散乱したんですね。花は他にも、鈴蘭やアネモネも活けられてたんですが…」
 「瀕死の状態で、わざわざ水仙を選んで、手に持って死んだわけか」

 その後の捜査で、被害者と関係がありアリバイのはっきりしない3人の人物が浮上した。警部は、3人から話を聞いた。
江東鈴子の証言
「伊谷さんと共演したことがあるモデルです。利己的でもないのに『エゴエゴ娘』なんてあだ名をつけられ怒りました。その抗議をしようと会う約束をしたんです」
椎野史郎の証言
「彼女は博識で、知識の豊富な人でした。でも、大学教授の私を『シワなし脳』と呼んだんですよ。これは許せない。謝るから会いたいと言ってきたけど拒否しました」
成田静雄の証言
「男優です。僕の名をもじって『ナルシスト男』とあだ名をつけて、何度も番組で言うんですから腹が立ちますよ。僕の美貌を嫉妬したんでしょ。殺されて当然な女ですよ」
 話を聞き終えた加茂警部が、根木刑事に言った。
 「水仙の意味がわかったよ。被害者は、花である人物を示そうとしたんだ。確かな証拠とは言えないが、その人物を徹底的に追求してみる価値はありそうだ」
 警部が推理する、ある人物とは?

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