約100年前に誕生した「ストップモーションアニメ」。「コマ撮り」とも呼ばれ、静止している物体を少しずつ動かしカメラで撮影し動いているように見せるという気の遠くなるような撮影方法だ。CGの台頭により減少すると思われた技法だが、今年に入り『PUI PUIモルカー』や『JUNK HEAD』の大ヒットが続いている。最大の魅力は本来動くはずの無い物体がまるで命があるかのように動くインパクトと世界観だろう。粘土、フェルト、ラテックスなど画面に登場するキャラクターの素材の多様化も作品の個性になっている。今回は大人も子供も楽しめるストップモーションアニメ5作品をご紹介したい。
『リラックマとカオルさん』(Netflixにて配信中)
都内の商社で働く真面目なアラサーOLカオルさんは、リラックマ・コリラックマ・掃除が得意なキイロイトリと同居中。まわりの友達から取り残されている気がして不安になったり、寂しくなったり。悩みも多いけれど、ノンビリのんきに暮らすリラックマ達のおかげで「まぁ、いいっか」と一歩踏み出せる、元気の出る作品。
『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』(U-NEXT D-TV RakutenTVにてレンタル配信中)
2020年にトイストーリー4、アナと雪の女王2を抑えゴールデングローブ賞アニメ映画賞をストップモーションアニメとして初受賞した名作。未確認生物発見に燃えるライオネル卿のもとに、ビックフットの居場所を示す地図が届く。森で見つけたのは最後の1人になってしまったビックフットのリンクだった。親類を探したいと頼むリンクと共に、ライオネルは世界横断の旅に出る。
『ティム・バートンのコープスブライド』(アマゾンプライムビデオ Netflix U-NEXTにて見放題配信中)
ティム・バートン監督によるファンタジーホラー。優しい魚屋のヴィクターは品が無く成金の両親のため、陥落した貴族のヴィクトリアと政略結婚の計画を進められている。結婚式のリハーサルで大失敗したヴィクターは落ち込み、森の木の枝に指輪をはめ誓いの言葉を口にする。すると地中から花嫁姿の死体が登場し死者の世界へ連れていかれるのだった。生きている人間を暗く陰鬱に、死者たちの世界を陽気にカラフルに描く、ティムバートンらしい異色作。
『グレムリン』(U-NEXT ツタヤプレミアムにて見放題配信中)
コマ撮り、パペット、合成、アニマトロニクスと様々な技法で撮影された貴重な作品。売れない発明家のランダルは、息子へのプレゼントとして愛くるしく歌う奇妙な生き物”モグワイ”を手に入れる。飼うなら、明るい所には出さないこと、水に濡らさないこと、真夜中を過ぎたら食べ物を与えないこと。しかし約束を破ってしまい、可愛かったモグワイ達は怪物グレムリンに変身、街へ出て暴れ出してしまう。スピルバーグ制作、ジョーダンテ監督の不朽の名作。
『キング・コング』(U-NEXTにて見放題配信中)
1933年上映、ストップモーションアニメーションが誕生した歴史的な作品。新作映画を撮りたい映画スタッフ達と主演女優アンに、恐竜などが生き残る髑髏島から連れてこられた大猿キングコング。ブロードウェイの劇場で手枷足枷を付けられ見世物にされるが、フラッシュの光に興奮し脱走してしまう。ニューヨークの街を破壊しながら暴れまわるコングは、アンを見つけエンパイアステートビルに登る。
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なにかと効率化が優先される世の中だが、時間と手間をかけ作られるストップモーションアニメには独特の魅力がある。作り込まれた映像の世界観に没入する快感を、是非味わってみて欲しい。