エヴァの度重なる公開延期が“聖地”を直撃…それでも復興の起爆剤に期待

福島 大輔 福島 大輔
小田急が発売しているエヴァンゲリオンとのコラボフリーパス
小田急が発売しているエヴァンゲリオンとのコラボフリーパス

 衰え知らずの人気を博している映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」。当初は昨年6月公開予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、延期に。ようやく今年3月8日に公開されると、興行収入は1カ月もたたないうちに60億円を突破し、前作を大きく上回る記録となった。

 興行成績自体には、公開延期の影響は感じられない。だが、当初予定からすると半年以上となる延期は、〝聖地〟に大きな影響を与えていた。同作の舞台である架空都市「第3新東京市」として設定された神奈川県箱根町だ。

舞台となった箱根の大規模イベントは公開日に届かず…

 東京から箱根への交通を担う小田急箱根ホールディングスと、同町内でホテル「箱根小涌園天悠」などを経営する藤田観光は、昨年末まで「エヴァンゲリオン×箱根 2020 MEET EVANGELION IN HAKONE」を展開。「箱根史上最大規模でエヴァンゲリオン化」と銘打ち、スタンプラリーやラッピングバス運行などを実施した。当初は公開予定だった同年6月まで実施予定だったが、度重なる延期を受けて期間を延長。だが、ついに公開を迎えることなく、昨年いっぱいでコラボイベントは終了してしまった。

 藤田観光の関係者も「誤算でした」と嘆き、小田急ホールディングスの関係者も「観光自体が低迷してしまいました。他にも計画していたイベントもあったのですが、残念でした」と消沈。それでも小田急ホールディングスが単独で、ラッピングバスや周遊フリーパスチケットなど、可能な限りのイベントを継続させ、公開日を迎えた。

さらなる聖地化へ小田急「継続的に続けていきたい」

 現在もコロナ禍が続いていることもあり、小田急ホールディングスの担当者によると、映画の公開を受けて集客が爆発的に増えているということはないという。それでも同担当者は「やはり箱根は、エヴァンゲリオンの聖地。この取り組みは一過性で終わるものではないですし、継続的に続けていきたいと考えています」と強い意気込みを示した。

 実際、ラッピングバスの写真を撮影する観光客が増えているなど、一定の効果は出ているという。「一企業、やグループだけではなく、箱根町全体でさらなる〝聖地化〟を進めていきたい。エヴァンゲリオンのファン層は、これまで箱根町を訪れていた観光客とは年齢層も異なりますし、期待は大きいです」とキッパリ。コロナで大きな影響を受けた観光業復興の起爆剤としても、大きな期待を寄せていた。

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