豪華なマンションの一室で、女子大生の死体が発見された。睡眠薬を大量に服用しての自殺。現場の状況は、そのように見受けられた。
加茂警部は、現場に着くなり部屋を見回しながら言った。
「こんな立派なマンションに、若い女性が一人暮らししてたのか?」
部下の根木刑事が答える。
「ええ。自殺したと思われる竹浦美幸は、両親を交通事故で亡くしてまして、その財産を相続してここで暮らしていたそうです。母親の姉に当たる冨嶋幹子が、親代わりの後見人で、彼女宛の遺書が見つかっています」
警部は、差し出された遺書を見た。(図参照)
「手書きじゃないな。パソコンで書いて印刷したものか…」
「後見人の冨嶋幹子と、自殺の動機に関わっていそうな関係者二人を呼んでいます」
「よし、話を聞いてみよう」
◆冨嶋幹子の証言
「美幸が自殺したなんて…。私と同じ国語教師か、できれば小説家になりたいという夢を語っていたのに…。作家の野沢淳二との恋愛関係で悩んでたけどそれが原因でしょうか」
◆野沢淳二の証言
「サイン会でファンだと言う美幸さんと知り合い交際してました。でも僕にはメリー小山さんという交際相手もいてね。三角関係?…まあ、そうとも言えるかな」
◆メリー小山の証言
「美幸は実はビッチなのよ。彼女に直接会って、ファッキューと言ってやったことがあるわ。英語が多い?…私は日米ハーフで帰国子女。日本語より英語が得意なレディよ」
三人の話を聞き終えた警部が言った。
「これは他殺だな。遺書は偽装されたもので、犯人はあいつだ!」
さて、加茂警部が指摘する犯人と、その推理の根拠は?