推しの卒業時に最大10日間の休暇が認められる「推し休制」で話題を呼んだ「株式会社ひろろ」の鶴見至善社長は、アイドルグループ・9nineの村田寛奈(24)を推すオタクであり、仕事上でも推しと関わりを持つ「半オタ」だ。好きなことを仕事にする覚悟とファンへの感謝を語った。
「アイドルファンで仕事に関わる人って、本当は一番ダメで。女性アイドル(界隈)では『半オタ』って呼ばれるんですけど(笑)。半分業界人で半分オタクっていうワードがあって、僕もそういう人が好きな訳ではない。仕事を通して近づいていこうっていうのはファンからすると不愉快じゃないですか」と話す。
鶴見氏の仕事は広告やミュージックビデオのクリエーティブディレクション。「半オタ」はファンであることを隠す人が多いが、「僕は『好きでやってますよ』と100%言う」。実際に「事務所から『企画はいいと思うんですけど、そういう方とのプロジェクトはよくない気がするんで』みたいなこともあったり」と、オタクがゆえに仕事を断られる時もあったという。
「必要最低限以外は村田さんと話さないようにしているんです」と、仕事の場ではプロフェッショナルとして振る舞う。「もちろん握手会とかは喋りますよ。でも仲良くなることは絶対にしてはいけないと思っているんで、そこは頑張って自分をとどめています」。会話が少なすぎるあまり、他の社員から「すごく仲悪いんですね」と言われるほどだと笑った。「けれど、村田さんの良さをどう引き出すかというディレクションはファンの目線も入れて、一番良いものを作ろうと思っているんです」。
他のファンから後ろ指を指されることはあまり経験しなかった。「周りのオタクの方々がとてもいい人たちだった、ということに尽きるかなと」と理由を語る。「僕もオタクとしてみんなと過ごす時間がとても好きなので、みんなが楽しいと思ってくれることを仕事として実現しようとしてきた。その思いが伝わって、あまり後ろ指さされることなく仕事ができてきたのかなと思います。結局『ファンはアイドルの鑑』なので、良いファンがいるのは村田寛奈ちゃんの人徳が素晴らしかったという結論になるのかもしれませんが」と“親バカ”ならぬ“推しバカ”ぶりを披露しながら感謝した。