「現代アートハウス入門 ネオクラシックをめぐる七夜」が1月30日、初日を迎えた。2月5日まで各日ミニシアターを彩った傑作を上映後、映画監督ら識者のトークショーが行われる。
30日の作品は『ミツバチのささやき』(ビクトル・エリセ)。東京・渋谷のユーロスペースでは上映後、映画監督の濱口竜介氏と三宅唱氏、映画研究者の三浦哲哉氏が登壇し、作品について意見を交わした。
1940年の内戦直後、荒れ果てたスペイン・カスティーリャ。フランケンシュタイン、精霊、負傷兵、年老いた父と若い母、姉…少女アナの純真さが心を打つ73年の作品。
三宅氏はスクリーンでは初鑑賞といい、アナについて「とにかく目がいい。目の動きから絶対目を離さないぞ、という覚悟で撮られている」と言及。「小さな目の動きだけで引き込まれる。言葉がなくても伝わってくる」と語った。
濱口氏は初鑑賞時を「途中で寝たけれど、いいものを観たという気持ちが心に入ってくる」と回想。それでも、後に同作品を子どもが映画館に見に行く短編をつくるほど見入った。「感覚が開き始める感覚」を得た、過去の体験を振り返った。
三浦氏はアナ役アナ・トレント、ビクトル・エリセ監督の逸話を挟みながら、作品のテーマの一つであるイニシエーション(通過儀礼)について言及。一方、妻と知り合ったばかりの頃、最も好きな映画に『ミツバチのささやき』を挙げられた時、気持ちが高揚したエピソードを披露して、会場を沸かせた。
3人は他にも作中の多彩な音、映っている画面の外を想起させるシーンを注視するなど、多岐にわたる同作の魅力を語り合った。それぞれ存在感を示し、トークショーを盛り上げた。
「現代アートハウス入門-」は大阪、広島、福岡など全国18か所で催され、トークショーはライブ、または中継、録画上映される。