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元ロッテ渡辺俊介氏 東大エース長男の中学受験時に妻が気づいた「受験生とプロ野球先発投手との共通点」渋幕不合格から逆転突破

受験

若林みどり 若林みどり
東大(画像はイメージ=moonrise/stock.adobe.com)
東大(画像はイメージ=moonrise/stock.adobe.com)

 元ロッテ投手で日本製鉄かずさマジック監督の渡辺俊介氏(48)には、東大野球部のエースを務める息子の向輝さん(4年)がいる。向輝さんは野球を続けながら中学受験に挑み中高一貫の海城(東京)に合格したが、大事な時期に渡辺さんは不在だった。「自分がいなくてよかった」と話したその理由、プロ野球選手を支え、受験生をサポートした妻の気づきとは。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 景品目当てで受けたという進学塾の全国テストで、勉強が得意であることに気づいた向輝さんは、小学4年で塾に入り、中学受験に挑む決心をした。

 時を同じくして渡辺さんの挑戦も具体化していった。

 「向輝が勉強ができるって気づいたのがアメリカに行く前で、そこから中学受験に向かっていく間、自分も挑戦が始まったんです」

 2013年オフにメジャー挑戦を表明してロッテを退団した渡辺さんは、14年3月から米国でメジャーキャンプに参加。その後、およそ2年間、米国の独立リーグなどでプレーを続けた。

 当然、日本の家族のことは気になる。1日1回はテレビ電話をつなぐようにしたが、「嫁さんは『今ね、勉強中』という感じだったので娘と話しをして」。受験が迫るにつれ伝わってくる緊張感に「遠くにいるし、極力ジャマをしないようにしていた」という。

 ロッテ時代、家族の生活は渡辺さんを中心に回っていた。

 「先発ピッチャーをやってる時は(登板の)3日前から集中力を作るようにしてたので、家で緊張感を出してたみたいなんです。子どもたちはそう言ってましたね。勝敗も家に持ち込まないようにとは思ってましたけど出てたと思いますから」

 妻は、ナイターを終えて夜遅く帰宅する夫に食事を準備し、朝は子どもたちを学校に送り出すなど異なる時間帯の生活に追われていた。

 渡辺さんは自虐気味に言った。

 「もし、僕がまだ日本でプロの現役をしていて、受験もとなっていたらジャマだったと思いますよ。1人手間のかかるのがいなかったから、向輝の受験中心に家が回っていた。いなかったのが良かったのかもしれない」

 渡辺さんは向輝さんの追い込みの時期まで海外で過ごして帰国。結果発表は一緒に迎えた。

 「すごい頑張ってたんですけど、最初、渋谷幕張(千葉)は落ちて。結構ショックを受けてたけど海城に受かったんです」

 気持ちを切り替えて見事、合格を勝ち取った向輝さんをたたえた。

 受験を終えて妻が口にしたのは「受験に向かっていくプロセスは、先発ピッチャーと一緒みたい」という発見だった。

 「例えば受験日の一週間前の同じ時間に下見に行って会場をイメージして試験と同じタイムスケジュールで過ごす。朝起きる時間からご飯を食べる時間まで一週間、試験用の生活をする。先発ピッチャーはナイターだったら、その時間に合わせて一週間前からやるし、デーゲームだったらそこに合わせる」

 集中力維持のため糖質(炭水化物)を多めに取るカーボローディング(栄養摂取方法)や、受験当日の糖分摂取のタイミング…。「受験も長いので集中力がどれだけ持つか。切り替え、休憩の取り方、時間の作り方、準備の仕方、イメージトレーニング。俺と一緒だねって話になって」

 渡辺さんはロッテで13年にわたって第一線で活躍してきた。先発投手と同じような〝調整〟ならば、妻にとっては慣れた部分もあったのではないだろうか。そう尋ねると渡辺さんは首を振った。

 「それよりも神経を使ってたと思います。中学受験は一発勝負じゃないですか。プロ野球は負けても次がありますけど、中学受験は次の年ってわけに、なかなかいかないんで」

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