日本のフォーク&ロックの礎を築いたレジェンドの1人で、2017年に亡くなった遠藤賢司さん(享年70)に捧げる音楽イベント「純音楽家 遠藤賢司を語ろう」が命日(10月25日)を前にした23日に都内の「新宿ロフトプラスワン」で開催される。「語り手」として、半世紀の歴史を誇るロックバンド「ムーンライダーズ」のフロントマンである鈴木慶一(75)が出演し、音楽だけでなく、“エンケン”の愛称で親しまれた遠藤さんと興じたサッカーやカラオケにまつわる逸話など、公私にわたるエピソードが披露される。(文中一部敬称略)
ムーンライダーズは1976年にアルバム「火の玉ボーイ」でデビュー。今年は、8月の50周年記念アルバム発売に続き、12月1日に奥田民生、大貫妙子、佐藤奈々子、清水ミチコ、野宮真貴ら多彩なゲストを迎えて東京国際フォーラムで記念ライブを開催。メモリアルイヤーを迎えた鈴木が同時代を駆け抜けた盟友の遠藤さんを語るイベント告知チラシ裏面には、自身が率いるサッカーチーム「Dolce Vita(ドルチェ・ヴィータ)FC」のユニホーム姿で遠藤さんと並ぶ写真、カラオケで歌った曲の一覧も掲載されている。
2013年2月20日、東京・吉祥寺で開催された遠藤さんのライブ打ち上げ後、出演者だったロックバンド「頭脳警察」のPANTAさん(2023年死去、享年73)、長年の親交がある俳優・佐野史郎、スタッフらで同地のカラオケボックスへ行った時の記録だ。同席した関係者は「部屋に入るなり、PANTAさんが『花の子ルンルン』(堀江美都子)を入れたのに衝撃を受け、皆さんが歌う曲名をメモしました」と振り返った。
その中で、遠藤さんは自身のレパートリーの最初に歌手・畑中葉子の「後から前から」を歌った。 鈴木がその曲目リストを自身のフェイスブックに上げ、知人を通して「後から~」が歌われたことを知った畑中は同年、東京・渋谷で行われた遠藤さんのライブ会場に足を運び、初対面で打ち上げにも参加。平尾昌晃さん(2017年死去、享年79)とのデュエットで1978年に大ヒットした「カナダからの手紙」で同年のNHK紅白歌合戦に出場し、その後、ソロ歌手として80年にリリースした代表曲「後から~」が、カリスマ的なミュージシャンによって歌われたことを意気に感じた。以来、遠藤さんとの交流が続いた。
畑中は当サイトの取材に対して「エンケンさんが私の故郷である八丈島で開催されるイベントにご出演されることをご連絡くださったので、私がご案内を申し出て付いて行ったこともありました」と思い出の中の一コマを回顧。「エンケンさんはずっと『葉子ちゃんは葉子ちゃんのままでいいんだよ』と言い続けてくださいました。その言葉を胸に、これからも前を向いて行きたいと思います。エンケンさんが亡くなられて来年で10年ですね。寂しいです」と命日を前に心境を吐露した。
そんな出会いも生まれた「カラオケの一夜」。遠藤さんをよく知る音楽評論家の湯浅学、音楽プロデューサーのサミー前田が進行を務める中、鈴木からどのような話が飛び出すか注目される。
イベントを主催する「遠藤賢司研究会」(通称・エンケンケン)の主宰者は「今回の語り手である慶一さん、(鈴木が71~72年頃に結成したバンド)はちみつぱい、ムーンライダーズ、そして、エンケンさんも日本の音楽のオリジネーター(※創始者)であり、孤高の存在です。お二方の音楽との向き合い方に加えて、プライベートでの心温まる交流についてもお話しいただけるのではないでしょうか」と期待を寄せた。