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美容整形で物が二重に見えるように→病院「施術自体に問題はない」→治療費負担や返金は請求できる?【弁護士が解説】

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Aさんは1カ月前に美容クリニックで二重整形を受けた。その後のある日、術後の腫れが落ち着いてきた頃、物の輪郭が二重に重なって見える「複視」という症状に気づいた。次第に信号や標識の位置が正確につかめなくなり、車の運転もままならない状態に。

そこでクリニックに相談したが「まだ経過観察中なので心配いりません」と言われるだけだった。さらに半年経っても見え方は変わらなかったため、返金や再施術を申し出たが、クリニック側は「施術自体に問題はない」の一点張り。「生活に支障が出ているのに、泣き寝入りするしかないの?」とAさんは途方に暮れている。

このように美容整形の後遺症により日常生活に支障が出た場合、施術をおこなったクリニックに補償を求められるのだろうか。P&M法律事務所の林本悠希弁護士に話を聞いた。

訴訟以外の方法も視野に入れて落ち着いた対応を

ー複視の再手術費用の負担や手術代の返金は、クリニックに請求できますか?

治療費は損害賠償の対象になり得ます。複視そのものの治療は、二重整形とは専門が異なる眼科で受けるのが一般的です。それでも医療ミスが原因の治療なら、眼科での再手術費用を元のクリニックに請求できる可能性もあります。ただし、請求できるのは必要かつ相当な範囲に限られ、かつ手術による筋肉損傷と複視との因果関係を証明する必要があります。

また、クリニックの施術に問題が認められれば、二重整形の契約を解除して返金を求められる場合もあります。まずは眼科で複視の程度を調べた検査結果を保存しておくことは必須です。

ークリニックにはどんな法的責任を追及できますか?

損害賠償を請求する根拠は、大きく2つあります。1つは手術で筋肉を傷つけたこと自体を問う注意義務違反で、認められれば治療費や後遺症に対する賠償を請求できます。

もう1つはリスク説明が不十分だったと問う説明義務違反です。こちらが認められると、自己決定権を侵害されたとして慰謝料を請求可能です。それぞれの違反が成立するかどうかは、手術記録や同意書、医師の口頭による説明の内容等様々な事情によって変わります。

いずれにしても、手術と筋肉損傷の因果関係の証明が不可欠であり、医療的な知見が必要になるので、これがもっとも高いハードルといえます。

ークリニックが経過観察を理由に対応を引き延ばす場合、第三者にはどのタイミングで相談すれば良いでしょうか?

経過観察の説明に納得できなくなった時点で相談すると良いでしょう。目安としては、症状の改善が見られないまま1〜2カ月続いたタイミングです。理論上、最初に症状が出てから5年は請求ができますが、時間が経てば双方の記憶も薄れ、記録も削除される等して大切な証拠が失われる可能性は高まります。そのため、なるべく早めに相談に行くことを意識してください。

まずは弁護士に相談し、場合によっては弁護士会の「医療ADR」という話し合いの制度を活用するのも1つの手です。医療ADRを利用すると、訴訟よりも費用を抑えながら解決を目指せます。こうした相談を進める上でも、やり取りの記録や写真を早めに残しておくと後で役立ちます。

◆林本悠希(はやしもと・ゆうき) 弁護士
大阪弁護士会所属。離婚や男女問題、交通事故、相続、企業法務など幅広い法律問題に対応。歌手を志していた時期もあり、CD全国発売した異色の経歴を持つ。
▽P&M法律事務所ホームページ
https://pandmlo.com/

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