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「おいしくないから返金して」「電話代も払って」客の無理な要求に困惑→どこまで対応するべき?【弁護士が解説】

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大学生のAさんは、洋菓子店でアルバイトをしていた。ある日、お客さんから「店員に勧められて買った商品がおいしくなかったから返金してほしい。友人に相談した電話代も払ってほしい」と言われる。

また別の日には、「開封していないので賞味期限が長い商品と交換してほしい」「パッケージが違う商品に替えてほしい」など、さまざまな申し出を受けることもあった。

いずれも商品自体に不具合があったわけではなかったが、一歩も引かないお客さんを前に、Aさんは強く断ることもできず、店長に判断を仰ぎながら対応するしかなかった。ただこの一連のクレームともいえる対応に「これってカスハラじゃないの?」と不満を抱き、アルバイトを辞めようか考え始めることに。

Aさんが困ってしまったこれらのお客さんからの要求に対して、店舗側はどこまで対応するべきだろうか。また、どのようなケースが「カスタマーハラスメント」に当たるのか。Authense法律事務所の松井華恵さんに話を聞いた。

商品に問題がなければ、返金や交換に応じる義務はない

ー商品の味が気に入らないという理由だけで返金を求められた場合、店は応じる義務がありますか。

商品の味が購入者の好みに合わなかっただけなら、店舗側が返金する義務はありません。実店舗で購入した商品は法律上のクーリング・オフ制度もないので「思っていた味と違った」という理由だけで、返金を求めることは不可です。

ただし、異物が混入している、見本と実際の商品が異なるなど、商品そのものに問題がある場合は別です。この場合は、返品や代金の減額などを求めることができます。

ーお客様都合による返品や交換は、法律上どのように考えられますか。

実店舗で商品を購入した場合、売買契約が成立しているため、購入者の都合だけで一方的に返品や交換を求めることはできません。

例えば、「賞味期限が近い」「パッケージが気に入らない」といった要望は、商品に問題がなければ、店舗の返品・交換ルールに従うこととなります。

購入時に返品・交換の条件が示されている場合は、内容を確認しておくことが大切です。

ー電話代や交通費など、商品代以外の請求を受けた場合はどう対応すべきでしょうか。

商品に問題があり、それによって具体的な損害が生じた場合、商品代以外の費用も店舗が負担することがあります。

一方、「家族に相談するための電話代」など、購入者が独自の判断で行った行為の費用は、店舗が負担する必要はありません。

ー店側が返品・交換ルールを決める際に気を付けることはありますか。

購入者とのトラブルを防ぐため、返品・交換の条件を分かりやすく示しておくことが大切です。

ただし、「返品不可」とする場合でも、商品に不具合があるケースなどは別です。購入者都合による返品と、商品自体に問題がある場合の対応を分けて考えるようにしてください。

ー消費者と店舗がトラブルにならないためのポイントを教えてください。

消費者側は「気に入らなかったから返金してほしい」と伝えるだけでなく、何に問題があったのかを具体的に説明することが大切です。

店舗側も、すべての要求を受け入れる必要はありません。まず事実関係を確認し、返品・交換に応じられるか、その理由を丁寧に説明しましょう。

なお、消費者庁は、消費者が事業者に意見を伝えること自体は「正当な権利の行使」としています。一方で、怒鳴る、長時間にわたって責め続けるなど、社会通念上、行き過ぎた言動によって従業員を苦しめる場合は、カスタマーハラスメントに当たります。

◆松井華恵(まつい・はなえ) 弁護士
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、同大学大学院法務研究科を修了。第二東京弁護士会所属。現在はAuthense法律事務所に属し、企業法務や不動産業界の顧問業務を中心に、労働問題や一般民事事件など幅広く取り扱う。

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