夏本番、酷暑の中で汗の匂いが気になる季節になった。本人に自覚がなくても、周囲にその匂いが及ぼしていることもあり、職場など集団生活の中で相手の心を傷つけないよう、どのように対応すべきか。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏がその対策を提言した。
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【今回のピンチ】
隣りの席の同僚は、いい奴で仕事もできる。ただ、極めて汗臭い。ある暑い日「オレ、臭うかな?」と聞かれた。スメハラに気付かせるチャンスである。どう答えればいい?
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今年もあちこちのオフィスで、スメハラ(スメルハラスメント)の加害&被害が発生する季節になりました。加害者側に悪気はないし、ほとんどの場合は自覚もありません。デリケートな問題でお互い様の部分もあるだけに、被害者側としても「お前、臭いよ」と指摘するのは、なかなか勇気がいります。
日頃から強烈な汗臭さを放っている同僚が、いきなり「オレ、臭うかな?」と聞いてきました。電車に乗っていたら、前に座っていた子どもが「ママ、なんか臭~い」と叫んだとのこと。そこで「もしかして自分のこと?」と不安になったようです。
スメハラに気付かせる絶好のチャンス。なるべく波風を立てずに事態の深刻さに気付いてもらうには、どう返せばいいのか。
目先の平和を優先して「夏だからねえ。汗もかくよ」などとお茶を濁してしまったら、せっかくのチャンスを逃すことになります。お互いの幸せにもつながりません。
かといって、思い詰めた顔で「言おう言おうと思ってたんだけど、前から気になってたんだよね。対策を考えてもいいんじゃないかな」と返すのは、けっこう危険です。
親切なアドバイスではありますが、人間はそんなに素直な生き物ではありません。その場でキレられることはないにせよ、「じゃあ、なんで言ってくれなかったんだよ」と恨みを買ったり、ギクシャクした関係になったりする可能性は大いにあります。
ここは自虐を交えながら一般論として語ることで、冷静に受け止めてもらいつつ、事態の深刻さに気付いてもらいましょう。
「オレも自分ではぜんぜん気付かなかったんだけど、このあいだ家族に汗臭いって指摘されたんだよね。『お願いだから、会社に行く前にシャワーを浴びて、途中でシャツを着替えて』なんて言われちゃった。夏はそういうことがあるから面倒臭いよね」
同僚が臭いかどうか、そこには答えていないのがミソ。あくまで自分が言われたこととして、具体的な対策も伝授しています。
「昔は『汗の臭いは働く男の香水』って言われてたのに、今はスメハラなんて言葉も出てきたりして、時代は変わったよね」などと、聞いたことがない慣用句を繰り出しつつ、危機感を持ったほうがいいと間接的に警告してあげてもいいでしょう。
いっぽうで、自分自身が自覚がないまま加害者になっているケースもあります。同僚が「このあいだ家族に汗臭いって言われちゃってさ」なんて話をし始めたら、それはこっちに対して遠回しに「お前、臭いよ」と言ってくれているのかもしれません。
あるいは、同僚が「いや、夏だから汗は誰でもかくんだけど、なんて言うか……」などと遠慮がちに臭いに言及してきたら、すでに周囲に甚大な被害を及ぼしていると思ったほうがいいでしょう。謙虚に受け止めて、早急にできる限りの対策を講じたいものです。