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「Gメン'75」俳優が無名時代に味わった田中角栄邸での「うな重」真紀子氏と同じ劇団 娘の抜てきに父は?

北村 泰介 北村 泰介
若き日に演劇に打ち込み、政界でも存在感を発揮した田中真紀子元外相(2005年撮影)
若き日に演劇に打ち込み、政界でも存在感を発揮した田中真紀子元外相(2005年撮影)

 昭和を代表する刑事ドラマ「Gメン'75」(TBS系、1975~82年放送)の初期のレギュラーメンバーだった俳優の岡本富士太がこのほど、作家・映画監督の山本俊輔氏が企画した都内のトークイベントに参加し、同作で助監督を務めた佐藤武光氏と作品を振り返る中で、一時期、同じ劇団に在籍した田中真紀子元外相とのエピソードを明かした。岡本は当サイトの取材に対し、娘に対する父・田中角栄元首相の予期せぬ行動を現場にいた者として証言した。(文中一部敬称略)

 岡本は1946年11月生まれで、1944年1月生まれの田中氏は2歳(3学年)上になる。高校卒業後、東京芸術座附属演劇研究所を経て、66年に「劇団雲」に入団。田中氏は早稲田大学の演劇サークル「劇団木霊」に久米宏や長塚京三らと共に在籍し、大学卒業後、劇団雲研究所に69年まで所属して舞台に立った。その「雲」時代、岡本は田中氏と接し、東京・目白の田中邸に招かれたこともあった。

 岡本は「お互いに劇団雲の研究生だった時、目白の真紀子さんの家に遊びに行ったら、お重の鰻弁当が出るんですよ。しかも、(重箱を)包んでいるものを取ると、お重の上に1万円札が置いてあった。60年近く昔の1万円ですからね。まだ“そこらのガキ”だった僕にとって、すごく大きなお金で驚きました」と無名の演劇青年に対する心遣いを体感。岡本は「その時、角栄さんは総理ではなく、大蔵大臣でした」と付け加えた。

 その後、田中氏は主役の相手役に抜てきされる案もあったが、そこに「待った」をかけるべく父が直談判したという。田中父娘の姿をまじかに見てきた岡本が当サイトに証言した。

 「遠藤周作さんが書いた『薔薇の館』という戯曲で、当時、劇団雲のトップにいた芥川比呂志さんが(俳優兼)演出をされた。ちなみに比呂志さんは(文豪)芥川龍之介の息子さん(長男)です。主役は三谷昇さんで、その相手役がまだ研究生だった真紀子さんになる予定だった。話題性という意味での計算もあったと思う。ところが、それを実際にやってしまうと、“本当の女優”になっちゃう。だから、『それはダメだ』と、角栄さんが車で劇団の事務所に来られた。それはよく覚えています。『なんで、“あの田中角栄"が(劇団の)事務所に直接来るんだ』と思いましたから。結局、真紀子さんは女優を辞めた…という、いきさつがありました」

 「薔薇の館」は1969年9月24日~27日に東京・都市センターホール、同30日~10月9日に東京・日経ホールで上演。三谷、芥川に、橋爪功、高橋昌也、岸田今日子、加藤治子、名古屋章、仲谷昇、寺田農ら、その後も長く映画やテレビドラマでもおなじみとなる俳優たちが出演。田中氏と同年代である高林由紀子も抜てきされた。ちなみに、岡本は「町の人々」の1人として名を連ねた。

 田中氏は後に衆議院議員として政界入り。小泉内閣で外務大臣、村山内閣で科学技術庁長官、野田内閣で文部科学大臣などを歴任。岡本はその後も俳優一筋の人生を歩んだ。「Gメン’75」の津坂刑事役でブレーク後も、NHK「中学生日記」、東映のスーパー戦隊シリーズ「高速戦隊ターボレンジャー」(テレビ朝日系)など幅広く出演。その中で、岡本は代表作の一つとなったフジテレビ系ドラマ「大空港」(1978~80年放送)を振り返った。同作は「空港内の警察」を舞台にした鶴田浩二主演の刑事ドラマだった。

 「海外ロケでオランダとドイツに僕と片平なぎさが行った時に、オランダでフィルムを盗まれた。撮ったものも、これから撮るフィルムもジュラルミンケースごとやられた。それで、ドイツまでフィルムを買いに走った。アウトバーンを時速200キロで。寝てないので、通訳さんに『寝てください』と言われるんだけど、すごいスピードで怖くて寝られなかったことを覚えています」

 一難去ってまた一難。ドラマのタイトル通り、「空港」でのトラブルも経験した。

 「帰りの飛行機は離陸時にパンクしていたんですが、(欧州に)Uターンせずに、成田空港の着陸時に対応することになり、成田の滑走路には消防車がずらっと止まって待っていた。何かあると危険だから、(火災防止のため)燃料が空になる直前まで旋回してから、タッチダウンするみたいにガンガンッと着陸したら火花が出て止まりました。なぎさ、泣いちゃった。さらに飛行機から降りても、空港で荷物が出てこない。間違えてドイツに行っちゃった(笑)」

 岡本は、同作で監督に昇進した盟友・佐藤氏と撮影時の思い出を語り尽くした。

 ※トークイベントの模様は配信中。詳細は「岡本富士太 ショットガンフィルム」で検索。

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