中学受験では親のサポートは大事だが、主役はもちろん子ども自身だ。そのため周りの友達が遊ぶ中でも我慢して勉強を進められる子ども自身の精神力や体力が試される。
中には夏休み明けなどのタイミングで、「自分だけが勉強を頑張っている気がしてしんどい」と言って、中学受験を嫌がってしまう子どもも少なくない。2026年に中学受験を経て大学付属中学校に進学した筆者の長女も、この問題に当時は悩まされた。
長女は小学5年生になる年の2月から塾に入り、それから約7カ月のあいだ頑張って勉強を続けていた。しかしある日、冒頭にあるような不満を筆者に漏らしたことをきっかけに、夫も含めて3人で話し合いをすることに。
話し合いの結果、中学受験は諦めて塾を辞めることを選択した。しかしその後、長女自身の意思で再び塾に通うことになる。ではなぜそのような経緯を辿ることになったのか振り返ろう。
完全に道を絶たないためにした、たった1つの約束
当時、長女は塾と通信教育を並行して受講していた。その状態から塾をやめると決めた時、筆者が提示した条件は、「塾はやめるけど、通信教育は続ける。毎週あるテストだけはやる」というものだ。
これにどれほどの意味があるか、その当時は特に分からなかったが、塾も通信教育も辞めてしまったら、もしまた受験したいと思った時に取り返しがつかなくなると考えたことを覚えている。実際に、勉強の負担を大幅に減らし、友達と遊べるようになったことで、久しぶりに長女の明るい笑顔を見る事ができた。
それから年を越えた1月のある日、関西の中学受験統一日に筆者は「今日は受験の日だから、中学校見に行ってみない?」と、第一志望にしていた学校に向かう提案をした。しぶしぶではあるものの、長女はこの提案に同意。その後、2人が学校の前にたどり着いたのは朝の10時頃で、試験の真っ最中のため独特の静けさと緊張感が漂っていた。
学校の前でしばらく立っていると、長女は受験に対して現実感が湧いたのか、「この学校に通いたい」とつぶやいた。これをきっかけに長女の勉強に対するやる気が芽生えたようだ。
学校を見たその日から劇的な変化が
第一志望の学校を見に行った日から、長女は見違えるように変わった。それまでは筆者が 何度も催促してようやくやっていた通信教材のテストを、自分の意志でやるようになったのだ。そして3月になると「塾に戻りたい、これ以上家でどうやって勉強したらいいか分からない」と、目に涙を浮かべながら懇願してきた。
その後も気持ちが中学受験に向けて一直線になった長女は、友達との時間を犠牲にしても勉強を続けた。そして、あの日見に行った第一志望の学校に合格するのだった。
長女が中学受験を乗り越える事ができた理由は、塾を辞めることを決断し、一度受験から離れたからだろう。これによって長女の受験に対するストレスを大幅に緩和することができた。
また志望校を見に行くのもよかった。これによって長女は「やらされてる受験」から「自分のための受験」に気持ちを切り替えられ、自分は通信教育だけでは勉強が足りないということを自覚することができたのだ。
◆橋本ひとみ(はしもと・ひとみ) 3児を育てるママライター
2026年、長女が1度塾をやめるという回り道を経て大学付属中学に進学。現在は長男が大手中学受験塾で中高一貫校を目指して奮闘中。次男は中学受験はせず公立へ進学予定と、3人3様の選択をする子どもたちに日々翻弄されている。中学受験を支える親のリアルをSNSで発信中。
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