小学館が運営するマンガアプリ「マンガワン」の編集部が27日、公式サイトを更新。掲載していたマンガ「常人仮面」の配信停止および単行本出荷を停止することを発表した。「原作者の起用判断および確認体制に問題があったため」と説明した。
「常人仮面」の原作者・一路一氏が「堕天作戦」の作者である山本章一氏と同一人物であると説明。2020年に山本氏が逮捕・略式起訴され罰金刑を受けたことを踏まえ「堕天作戦」の連載を中止していたとした。しかし編集部は2022年に、一路一に名前を変えた山本氏の原作で新連載「常人仮面」を開始していた。編集部は「本来であれば原作者として起用するべきではありませんでした」と振り返り、被害者に謝罪した。
また、山本氏と被害女性との民事訴訟で、和解協議に「編集部が組織として」は関与していないとしたが、担当編集者が関与していたことも公表。「不適切な対応でした。」と重ねて謝罪した。
「常人仮面」の作画担当・鶴吉繪理(つるよし・えり)氏は自身のXに「今回の件について」と題して文書を掲載。事件については事前に知らされておらず、SNSなどで知ったと明かした。山本氏とは一度会合で会っただけで「やり取りは全て担当の〇〇氏を通じて行っていました。」と告白。改名したことや過去の事件についても全く知らなかったという。
その上で「作品は絵空事だからこそ自由です。だからこそ現実世界で人を傷つける行為があってはならないと、私は強く感じています。」と強調。「被害に遭われた方の心身の回復が守られることを心より願っております。また、読者の皆さまにもご心配をおかけしましたことを、改めてお詫び申し上げます。」と伝えた。
また「マンガワン」の作家陣からも非難の声が続々と上がった。「懲役339年」を連載していた伊勢ともか氏はXに長文を掲載。「堕天作戦と同じ時期、同じ賞出身でマンガワンに連載していた立場からすると、今回の事件はショックであり、作家による未成年への性加害、虐待行為を隠蔽したともとれる編集者の行動には強い失望を覚えます。」とコメント。編集者が担当する作家には親友もいるとした上で「筆も持てないほどに動揺し事件に対し心を痛めている彼らを見ると、怒りと悲しみが収まりません。」と憤った。
「悪辣な表現描写がエンタメとして成立し、誰かの救いにすらなり得るのはそれがフィクションだから」と説明。「信頼していた編集者が、現実の重大な犯罪を庇い、結果的に被害者をさらに苦しめる行為に加担しているなど、誰が思うでしょうか?」と衝撃を表現した。さらに「僕自身も、昨日まではマンガワンで連載していた事を誇りに思っておりました。ですが今はそれを恥ずかしく思う気持ちです。」と嘆いた。