映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」やドラマ「THE WIRE/ザ・ワイヤー」で知られる俳優ジェームズ・ランソンさんが、隣人女性を性的暴行から救っていたことがわかった。ランソンさんは12月19日、46歳で自ら命を絶った。2006年当時、ニューヨークで近所に住んでいたモリー・ワッツさんは、男に襲われた際にランソンさんが犯人を追い払ってくれたというエピソードを明かした。
モリーさんはインスタグラムに「昨日、ジェームズ・ランソンが亡くなったことを知りました。普段はプライベートなことは話しませんが、この方が存在してくれたことへの心からの感謝を公に伝えたいと思います」とつづり、ランソンさんとのエピソードを明かした。「私たちはチャイナタウンで隣人同士でした。友好的な関係で共通の知人もいたんです」とランソンさんと知り合いだったという。
「ある時私は建物の入り口で襲われました。助けを求めて叫びましたが、誰も来なかったのです」「暴行者は私の喉を絞め声が出ませんでした。息ができなかったのです。窒息して意識を失う間、死ぬかレイプされるかのどちらかだと確信したのを覚えています」「PJ(ジェームズの愛称)が私の悲鳴を聞きつけ、助けに走ってきてくれました。シャツも着ずに、バットか鉄パイプのようなものを手に持って駆けつけてくれたのです。無我夢中だったのでどちらを持っていたかはっきりと覚えていませんが、彼はその暴行者を怯えさせ、犯人は逃げ出しました」とランソンさんの咄嗟の行動で救われたという。
さらに「PJは逃げ込んだ建物まで追いかけていきました」「その追跡のおかげで警察は犯人を特定できたのです。再犯の性犯罪者でした。PJが私を救ったのです。あの夜彼が駆けつけてくれなかったら、今の私の人生はなかったかもしれません」「大人になった今でも、あの日もし彼がいなかったら自分の身に何が起きていたか、その恐怖を抱えながら癒やしていくのにどれほどの時間を要したかは想像もつきません。当時の私は、今よりもずっと精神的に脆い状態でした」と、大げさでなくランソンさんが“命の恩人”であることを伝えた。
ランソンさんは2021年には自身が性的虐待のサバイバーであることを公表し、2016年には長年のヘロイン使用を経て27歳でドラッグを絶ったことを明かしていた。モリーさんは、そういった過去の経験に「取り憑かれている」と感じていたそうだ。「PJの死で何より辛いのは、彼自身が、あの時私を襲ったような暴力(性的虐待)の記憶と共に生きていたことです。あの日、彼のおかげで私は被害を免れましたが、彼はまだ自分を守る術も自我も確立されていない幼い頃に、別の形でその暴力を耐え抜かなければなりませんでした。PJの人生は、その過去にずっと苛まれていたように感じます。傷つきやすく、脆く、時に問題を抱えてしまう人々に対して、この世界が優しく手を差し伸べることは滅多にありません」とランソンさんの心の痛みを思いやった。
ランソンさんに長年、直接感謝の意を伝えられなかったことを後悔していると続けたモリーさん。投稿の最後には、ランソンさんの遺志を継ぎ、困難に直面する子供たちを支援するために設立されたGoFundMeのリンクを共有し、支援を呼びかけた。
同事件についてランソンさんは生前何度か語っており、2016年には当時の状況をこう明かしていた。「当時付き合っていた彼女とテレビを見ていたんだ。僕はパジャマのズボン一丁だった。4月頃で、外は小雨が降っていた。すると、助けを求める叫び声が聞こえてきたんだ。その悲鳴を聞いた瞬間、僕は外へ飛び出した」