外国語を話すことは、老化を遅らせる最も単純で驚くべき手段だという。27カ国8万6000人以上の成人データを分析した大規模研究によると、複数言語を話す人々は単一言語者と比較して、健康的な老化の兆候を示す確率が2倍以上高いことがわかった。
スペインとアルゼンチンの研究者らが実施したAIを用いて参加者の「生体行動年齢差」(実年齢と生物学的年齢の差)を算出したところ、多言語話者は一貫して若く評価される結果が出た。研究チームは複数の言語を使い分けることが脳を刺激し、神経経路を強化、加齢に伴う機能低下を防ぐ可能性があると推測している。この発見で、ボードゲームや新技能の習得、定期的な読書といった精神的に負荷のかかる活動が高齢期における認知機能の健康維持に寄与するという研究結果を裏付けるかたちとなった。
同研究は、西洋諸国で高齢化が加速する理由を解明する広範な取り組みの一環で、アメリカでは成人の76%が少なくとも1つの慢性疾患を抱え、10年前の72%から増加、過剰摂取による死亡、肥満、長期疾患の急増により、平均寿命は約79歳で頭打ちとなっていて、先進国の中でも最も低い水準となっている。
厳格な生活習慣や高価なサプリメントで長寿を追求する流れがある中、専門家らは遥かに安価で科学的根拠に基づく習慣が真の効果をもたらすと指摘。身体活動、健康的な食事、質の高い睡眠、ストレス軽減が生物学的加齢を遅らせるという研究結果が増えている。
例えば、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせた8週間プログラムでは参加者の生物学的年齢が2歳若返り、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究では、栄養豊富な食事で2.4歳若返る結果となった。
他にも50歳以上で一日の睡眠時間が5時間未満の人は、複数の慢性疾患を発症するリスクが最大40%高くなる一方、過度の飲酒、喫煙、電子タバコの使用も分子レベルの老化を加速させることが証明されている。
遺伝よりも生活習慣の方が老化速度を左右する要素であることは専門家らの間で一致しており、身体を動かすことと同じくらい、脳を活発に保つことが重要であることが示唆されている。