関西の大学では、学園祭シーズンが到来した。西日本最大規模の大学学園祭で、2024年は10万1920人が来場した関西大学統一学園祭が1日から4日間の日程で大阪府吹田市の関西大千里山キャンパスで開幕する。
6人組ダンス&ボーカルグループ・GENERATIONSが3日に学園祭ライブを行うほか、俳優の佐藤二朗(1日)、関西大出身の人気YouTuberグループ・Lazy Lie Crazy(レイジー ライ クレイジー、略称レイクレ=2日)、フリーアナウンサーでタレントの森香澄(4日)がトークショーに出演。全公演でチケットがすべて完売する人気だ。
同学園祭実行委員長の関西大3年・山田拓登さんは「今年の統一学園祭は、学生の“努力と情熱を爆発させる最前線の場”にしたい。学園祭のタイトル『祭前線(さいぜんせん)』には、挑戦を恐れず、自分の限界を超えていく学生たちの覚悟を込めました。私たちが目指すのは、来場者に“笑顔・感謝・未来”を届けること。キャンパス全体が、ひとつの特別な空間になることです。ステージも模擬店も、すべての場面で学生の思いが形になる。今年はそんな、非日常が生まれる学園祭になると思っています」と語り、1978年(昭和53)に始まった同学園祭の史上最多来場者数となる15万人の動員を目標に掲げた。
“学園祭の華”模擬店は、4日間でクラブ・サークルやゼミなどのべ180団体が出店する。流行や時代を反映する模擬店のメニュー。2025年は何が人気なのか?
模擬店出店を統括する同実行委員会の関西大3年、内田健斗さんによると、メニューの上位はフランクフルト、ギョーザ(焼き、揚げ、水)、ドリンク類(ラムネ、レモネードなど)、焼きそば、焼き鳥だという。「フランクフルトは手ごろに手軽に作れて、やっぱり提供しやすい。若い人たちに肉は人気なんで、ニーズがあるからけっこうフランクフルトは多いんじゃないかなっていう感じです」と、例年フランクフルトが上位の理由を説明した。
2024年は焼きそば、フランクフルト、たません(たまごせんべい)、焼き鳥の順だった。今年は、えびせんべいにソース、マヨネーズ、目玉焼きをのせる関西屋台の定番・たませんを扱う模擬店が急減している。「人気なかったんだと思います。あんまり売れているイメージなかったし、それに比べたらやっぱりフランクフルトとかの方が売れてたから、出店団体が売れているメニューに変更した。例年、毎回たませんを出すような団体が、フランクフルトに変えたりしている。今までの流れとか見て、たませんの流れが終わった」と分析した。
ギョーザを出す模擬店が急増していることについても「例年めちゃくちゃ、たませんを出す団体が多くて、けっこう被っちゃっていた。他と違いを出そうとして『手ごろに作れて人気があるもの』ってなった時に、ギョーザがすごい人気があって、結果的にたませんからギョーザにシフトチェンジする団体が増えた」と解説する。
模擬店といえば、たこ焼きのイメージが強い。1989年(平成元)の学園祭では、4日間で2万5277個のたこ焼きが売れたという。「シンプルに、用意するものがかなり多いんですよ。かなりパワープレーで、労力を使うというのもあるし、使う品目もちまちま多いから、原価も高い。あまり人気がない…ていうところから考えると、たぶんフランクフルトが人気なんですよ」とたこ焼きは敬遠される傾向にある。
値段は300~500円の価格帯が多い。世間は物価高にあえぐが、原材料の高騰にもかかわらずほぼ例年通りだという。「値段よりも買ってほしい、喜んでほしい、盛り上げたいというところにフォーカスが当たっている。値段上げたところで買わないし、他の店が値下げするだけ。いかに安く大量に仕入れて売っていくというところに学生は知恵を絞っている」と、薄利多売が模擬店繁盛のカギだ。
内田さんは「関西大学の学生が主体的に運営し、試作を重ねた180店舗が4日間で立ち並ぶ。学生の努力とか、アイデアがつまった一品を食べていただき、統一学園祭を楽しんでほしい」と呼びかけた。出店団体は、売上金を元手に打ち上げをするのが、定番コースだという。