大阪・関西万博のシンボルだった大屋根リングの木材が能登の復興支援住宅に生まれ変わる。
大屋根リングの一部の木材が、能登半島地震や豪雨により被災した石川県珠洲市に無償譲渡、ブルーオーシャンドームの設計も手掛けた坂茂氏らの協力により、復興公営住宅の建設資材として使用されることが決まった。未だ完全な姿で残してほしいとの声も多く残るが、解体された後は被災した人々の暮らす住宅として、恒久的に使用される予定とのこと。
木材を受け入れる石川県の担当職員に話を聞いた。
――大屋根リングの木材を能登の復興住宅に木材が使用されると決定したタイミングは?
職員:復興公営住宅の主要部材として利活用出来るのではないかと考え、2025年日本国際博覧会「未来社会ショーケース事業/グリーン万博・リユースマッチング事業“ミャク市!”大屋根リング木材譲渡にかかる2025年7月31日期公募」に応募しました。
――譲渡が決まった時のお気持ちやご感想は?
職員:9月29日に博覧会協会から1,535本の柱・梁・CLT材を無償譲渡すると連絡が来ました。大阪・関西万博の象徴である世界最大級の木造建築物として注目を集めた大屋根リングに使用した木材を、能登半島地震及び豪雨災害で甚大な被害を受けたこの地で復興事業で利活用することで万博のレガシーを継承すると同時に、能登の地域住民の暮らしや地域再生を象徴する存在になって欲しいと考えています。
――大屋根リングは実際にご覧になりましたか?
職員:木造建築物の規模に圧倒されました。恒久的な住宅の部材として使用できるのか不安がありましたが、実際に大勢の方がその上を歩かれているのを見て使用出来そうだなと確信しました。木造及び構造に特化した建築士の協力を得ながら検討していきたいと思います。
――木材はいつ、どのように搬入される予定ですか?
職員:来年3月頃から随時、引渡し出来ると博覧会協会から伺っています。珠洲市では移送及び保管・加工までのスキーム検討を行っている段階。民間事業者のご協力で利活用にかかる費用を押さえる仕組みを構築したいと考えています。
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SNSでは「日本の色んな土地で役に立つのも万博の魅力なのかも」「有効活用されてよかった」「全部映像で記録してほしい」などの声と「能登の復興を優先すべきだった」「すでに木材の劣化が始まっているのでは」「やっぱり大屋根リング全体を残してほしい」など様々な意見が交わされている。今後の動向に注目したい。