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大河ドラマ「べらぼう」逃亡した遊女を待ち受けていた「地獄の責苦」とは? 識者語る

濱田 浩一郎 濱田 浩一郎
画像はイメージです(freehand/stock.adobe.com)
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 大河ドラマ「べらぼう」第40回は「尽きせぬは欲の泉」。「べらぼう」では苦界に生きる遊女の悲惨な責苦も描かれていました。ドラマでも描かれていたように、遊女になった女性の運命は「悲惨」でした。先ず、遊廓の主人の叱責を恐れて「遊客」(遊廓の男性客)第一に振る舞わなければなりませんでした。場合によっては自分の親よりかなり年上の「白髪の老人」の相手をしなければならなかったのです。そうした老人を撫でさすり、抱き抱えて機嫌を取り結んだのでした。そうした事を一昼夜のうちに沢山しなければならなかったのです(一昼夜のうちに「3人・5人」「6人・7人」の客の相手をしなければいけなかったとのこと)。

 遊女の中にはそうした「仕事」に嫌気がさしていたり、苦々しく思っている者もいたでしょうが、そんな心中を隠して、客には「笑顔」を見せなければならなかったのです。客の機嫌を損ねたり、体調不良で客の相手ができない場合は、鞭で打たれたり、食べ物を与えられなかったり、または汚物の掃除を命じられたりしました。そうした責苦を受けていれば、当然、遊女らの精神も荒んできます。「志」ある遊女は1人また1人と減っていき、「狐狸」のような、または「追剥人殺の心根」になって苦界を凌ぐようになると江戸時代後期の随筆『世事見聞録』は記述しています。

 苦界を凌ぐことに耐えきれなくなった女性はどうするか。窓を破り屋根を伝い、土濠に潜り脱走しようとするのでした。しかし脱走が事前に露見すれば「折檻」されます。逃げて隠れていても探し出されることもありました。苦界に引き戻された遊女は「竹篦」で気絶するまで叩かれることになります。または丸裸にされてから、口には轡(手綱をつけるために馬の口にかませる金具)のように「手拭」を咥えさせられ、体を4つ手に縛り上げられて打擲されるのでした。生き地獄のような責苦の受けた遊女の心境を思うと涙を禁じ得ません。

(参考文献一覧)
・北小路健『遊女  その歴史と哀歓』(人物往来社、1964年)
・小野武雄『吉原・島原』(教育社、1978年)

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