犬が、お気に入りのおもちゃに対し、人間の依存症と似た状態になる可能性があるという。スイスのベルン大学とオーストリアのウィーン獣医大学の研究で、おもちゃに関する「依存症のような行動」を示す犬が全体の約3分の1に上ることが判明、執着、離脱症状、自制心の喪失といった兆候が見られる結果となった。
1歳から10歳までの105匹の犬を対象とした実験で、31%がおもちゃに執着し、食べ物や人間、他の活動を無視する状態となり、中にはおもちゃを取り上げられると不安や興奮状態となり、最大15分間も歩き回ったり鳴き続けたりする個体もいた。
研究チームは「飼い犬は人間と多くの複雑な行動特性を共有しているのです。今回の結果は、犬における過剰なおもちゃへの動機付けと人間の行動依存症との類似性を浮き彫りにしています」と説明する。
さらに同チームは、犬がこういった自発的な依存症的行動を発達させる唯一の非人間種で、一部の犬は自分のおもちゃを回収したり守ったりすることに「過度に固執する」ようになると指摘、今後はおもちゃへの依存が犬の福祉に与える影響、またそれが人間に見られるものと同様のストレスや行動問題を引き起こす可能性があるかどうかを研究していく計画だ。