日本維新の会が6日、大阪市内の党本部で、吉村洋文代表(大阪府知事、50)をトップとする「副首都法案プロジェクトチーム(PT)」の初会合を開いた。災害などの発生時に首都圏機能を代替する「副首都」実現に向けて党内で制度設計などを検討し、9月中に副首都法案の骨格をまとめる。
会合後、藤田文武共同代表(44)とともに報道陣の取材に応じた吉村氏は「東京一極集中の是正をして、いざというときは国家としての危機管理として、首都機能のバックアップを備える。そういった副首都エリアをつくっていく。もう一つは、日本の経済の成長をけん引する、副首都と言われるような経済圏域をつくって、複数のエリアで日本の成長を目指していく」と意義を強調した。
維新は参院選で、社会保障料を下げる社会保障改革と副首都を“2本柱”として公約に掲げた。社会保障改革については、一定の方向性が出ているとした吉村氏は「日本の国家構造にとっても必要だと思っている。副首都については、今月中にも維新の考え方をまとめていきたい。他党にも、この趣旨に賛同してくれる他党にも、議論してまいりたい。まずは我々としての考え方を整理してまとめていく」と、副首都実現に向け他党に賛同を呼びかける。
秋の臨時国会に法案を提出するかどうかについて、吉村氏は「(臨時国会に)法案として提出するかどうかは、現時点でまだ決まっていません。きちんと議論できるように、法案としてまとめていく」と述べた。藤田氏は「ただ法律をつくって、我が党だけで出すっていうんだったら臨時国会で出せる。ただ記念で出すだけじゃなくて、実現させないといけない。実現に向けてベストな動きをするというのが私たちの考え方」とさまざまな手法を模索する。
大阪維新の会は、大阪市を廃止して特別区に再編する統治機構改革「大阪都構想」の新たな制度設計案について検討を進めている。副首都法案と、大阪都構想との関連性を問われた吉村氏は「大阪も当然念頭にしていますし、ただ大阪だけに限るものでもない。世界を見渡すと、いろんな都市が成長している。日本だけが貧乏になってきている。僕はこれが許せない。成長する都市をつくっていきたい。先陣を切るのは大阪。大阪だけのためにあるのではなく、同じような志を持って日本を引っ張るんだというような都市が出てくれば、そういう認定があげられるような制度設計を考えていきたい」とした。
一方で「都道府県、政令市の二重行政でやっているエリアでは副首都は担えない。都道府県と政令市がひとつになって、あるいは二重行政を秋称して、ひとつの強力な司令塔の行政機構があるところが副首都としてふさわしい」と、大阪都構想と同じ理念を掲げた。
吉村氏は「東京一極集中だけではない成長する国家構造を目指すというのは、僕は本質的に重要だと思っている。党勢とか全国政党化するための手段として、これをやるつもりは全くない。日本にとって必要なことだと心から思っている」と本気度をにじませた。
実現の見通しについて「熱量だと思う。我々維新の会が、どこまで本気でやろうという熱量をもってこれにぶつかっていくのか。僕自身がどれだけ熱量を持って、維新の会がどれだけ熱量を持って本気で副首都というのを実現させていくか。僕は本気で、熱量を出してやっていきたい」。吉村氏は「熱量」という言葉を重ねて口にし、不退転の決意を見せた。