サンリオのキャラクター「チョコキャット」を知っているだろうか。総数が450を超えるサンリオキャラにおいて、このキャラには特筆すべき特徴がある。それは「海外人気が異常に高い」ということ。さらに、ネットなどで調べても「海外でアニメが人気らしい」という程度で、海外人気の理由がはっきりとしないことも謎キャラぶりに拍車をかけている。いつ、どこで、どうして世界のサンリオファンを魅了しているのか―。「チョコキャット」の海外人気の理由をサンリオに聞いた。
「チョコキャット」は1996年に日本でデビューしたキャラで、公式サイトでは「元気いっぱい!でも、ちょっとおっちょこちょいな黒ネコの男のコ」と紹介されている。毎年恒例の人気投票企画「サンリオキャラクター大賞」で今年は全体24位にランクイン。昨年の46位から大きく順位を伸ばしたが、トップ10には及ばなかった。
しかし、国・地域別順位をみると、米国で2位、ブラジルで1位、英国で2位、イタリアで5位、ドイツで4位、フランスで4位、スペインで3位と、北南米・欧州で軒並みトップ5入り。昨年も米国、ブラジル、英国、フランスでトップ5入りしている。その他「ポムポムプリン」「シナモロール」なども海外で人気が高いが、これらのキャラは日本国内でも人気。国内外で知名度・人気に明らかな格差がある「チョコキャット」が際立っている。
「チョコキャット」の“海外無双”はSNSでも「チョコキャットの海外人気やばくて草」「チョコキャットの海外人気はなんでなの?」「海外勢に異常に人気のチョコキャットくんは何者なの」「チョコキャットなんでこんなにつよいの…?」と話題に。また「海外のチョコキャット人気はアニメだと思うんだけどどうなん?」「チョコキャットくんは海外でアニメやってるんだよね」と人気の理由に触れる声もあった。
実際、2020年に北米ではYouTubeアニメ「Hello Kitty and Friends Supercute Adventures」が公開され、そこに「チョコキャット」も登場。サンリオの広報担当者によれば、同キャラがアニメに登場するのはこれが初めてで「動き回るチョコキャットの可愛い姿が人気となり、シリーズの中では欠かせない存在になりました」と、現在のシーズン11にいたるまで活躍が続いているという。
しかし、海外での人気の始まりはもう少し前までさかのぼる。
元々、日本向けに誕生した「チョコキャット」は日本デビューから3年後、1999年に北南米でもデビューした。当初のデザインは、ベージュのベース色+白黒ギンガムチェックの帯という背景に「チョコキャット」がワンポイントで描かれたものだった。一見、派手さはないが「それまで北南米向けの商品はカラフルな色を使ったキャラクターたちが主流だったので、大人っぽい色味とシンプルさが新鮮だったようで、特に高校生~大人から人気を集めました」(同担当者)と珍しさがかえってウケた。
その後、少しずつデザインのバリエーションを増やし商品を展開。特にブラジルでは、デビュー時からこれまで継続して人気があり、他の国・地域では見られない、動きのある「チョコキャット」のデザインなど、広いターゲット層向けに数多くのライセンス商品が発売されているという。
これらの下地があった上で、近年は先述のアニメ効果などで露出が増加。2023年にはゲーム「Hello Kitty Island Adventure」にも登場した。同担当者は「アニメやゲームに登場したことにより、商品展開が増えたこと、SNSなどでも話題になっていることにより、人気が増しているのかもしれません」と分析。また、アニメやゲーム内で見せる「サンリオのキャラクターの中ではめずらしい『発明』や『研究』をする知的な一面も人気になった要因の一つではないかと思います」と付け加えた。
日本でも海外人気が知られるようになり、存在感が増す「チョコキャット」。来年はデビュー30周年のメモリアルイヤー。ある種の逆輸入のかたちで、国内でも活躍の場を広げることが期待される。