「パイレーツ・オブ・カリビアン」の海賊ビル・ターナー役で知られる俳優のステラン・スカルスガルド(74)が、コメディドラマ映画「センチメンタル・バリュー」で低いギャラを受け入れた理由について明かした。製作スタッフに美味しいランチを食べてもらいたかったからだという。
ノルウェーで活動するヨアキム・トリアー監督による同新作でエグゼクティブ・プロデューサーも務めているステランは、チェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でバラエティ誌に「私は最初プロデューサーになるはずじゃなかった」「『特別な契約でない限りノルウェーでの撮影はしない』って」「『不眠症 オリジナル版 ―インソムニア―』の後にクルーたち全員を集めて、『この国では2度と撮影しない。美味しいランチが無いのなら』って言ったんだ」と話した
スウェーデンのヨーテボリ出身のステランだが、1997年公開のノルウェー映画「不眠症」の撮影時に、提供された食事に度肝を抜かれたという。「あの時は8キロ痩せたよ。毎回スライスされたパンの塊と薄っぺらなサラミ。それだけ!」「それからもノルウェーでは映画を撮ったけど、契約書には『クルー全員がヨーロッパの最高水準のランチを食べること』って書いてある。高くつくけどね」「ノルウェーはお金のある国なのに、食事にお金を使わない」「私は今回ギャラを50万クローネ(約1200万円)下げたと思う。皆の食事のためにね。プロデューサーから『君の功績が認められることになる』って言われたよ。料理は本物の陶器で提供、プラスチックや紙袋なんかダメだ。並んで立ちながらじゃなく、腰を下ろして食べる」
そんな食事の水準という一見些細なものが、実は映画作品の質に重要な影響を与えるとステランは信じているという。「皆を幸せにするものだし、映画をより良くするものだ。この契約以来、ノルウェーで駄作を撮ったことは一度もない」
ノルウェーは国土の多くが農耕に適さない。そのため山地で捕獲するジビエや海で捕れる魚介類が中心で、シンプルな調理法が多い。
ちなみにステラン自身は食べ物の好き嫌いは特にないそうで、それは作品選びにも活かされているという。「食べ物を制限する人はたくさんいる。『肉は食べない』とかね。私は何でも食べる」「こういった自分の嗜好は人生においてもで、映画をダメにするのはジャンルじゃない。怠惰がそうする。私が参加したアメリカ映画は優れた監督によるものだった。ジョン・フランケンハイマーの『RONIN』、ドゥニ・ヴィルヌーヴの『DUNE/デューン 砂の惑星』、最初のマーベル映画もだ。残念なことにその後(マーベル)4作と契約することになったけどね。でも最初の作品はケネス・ブラナーが監督だから!」