手塚治虫の代表作「リボンの騎士」に幻のバージョンがあった!貴重な作品収録本が出版 原点は宝塚歌劇団

北村 泰介 北村 泰介
講談社なかよしコミックス「リボンの騎士4」表紙原画(1965年12月15日発行)©TEZUKA PRODUCTIONS
講談社なかよしコミックス「リボンの騎士4」表紙原画(1965年12月15日発行)©TEZUKA PRODUCTIONS

 〝漫画界の巨人〟が残した代表作の一つである「リボンの騎士」から、歴史的に希少価値のあるバージョンを収録した『リボンの騎士 ミッシング・ピーシズ』(手塚治虫著、税込6050円)が17日に立東舎から発売される。(文中敬称略)

 本書には「リボンの騎士」(1953年~67年に複数の雑誌で連載)から、現在入手困難な『双子の騎士(原題・リボンの騎士)』(鈴木出版・手塚治虫漫画選集版)と、これまで一度も単行本化されなかった幻の『少女フレンド』版「リボンの騎士」(手塚治虫・北野英明)を収録。〝男装の麗人〟である主人公のサファイア王子が「サファイヤ」と表記されていた時代の貴重な作品群だ。さらに、シノプシス(※あらすじ)やラフスケッチ、アニメ版絵コンテやカットなどの関連資料も多数掲載している。

 「リボンの騎士」といえば、フジテレビ系で1967年4月から1年間放送された虫プロダクション製作のアニメ版(カラー全52回)も当時の子どもたちに親しまれた。再放送も含め、現在、中高年となった人たちの心に、シンセサイザー・アーティストの冨田勲が作曲・編曲したテーマ曲と共に刻まれている。

 アンソロジスト(編集者)の濱田高志による本書の「解題」では、「手塚治虫漫画全集」の「リボンの騎士」三巻(77年発行)のあとがきで、手塚が「ぼくの故郷は、少女歌劇で有名な宝塚です」として、登場人物のコスチュームや背景に宝塚歌劇団の舞台からの影響を明かし、「ぼくの少女ものの作品は、宝塚へのノスタルジアをこめて作ったものが多いのです」と述懐した文章も紹介されている。

 まさに、女性による男装という宝塚歌劇のスタイルは、サファイア王子というキャラクターにつながっている。少年~青春時代に親しんだ地元の舞台が同作の原点でもあった。

 立東舎は、音楽関連のメディア事業を手掛ける「リットーミュージック」内で文芸・カルチャー関連を扱う出版レーベル。手塚が描いた有名作の〝失われたコマ〟などを複刻させる「ミッシング・ピーシズ」シリーズにおいて、今作は「ブラック・ジャック」「三つ目がとおる」「火の鳥《望郷篇》」に続く第4弾となる。ファン待望の一冊となりそうだ。

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