昨年10月の首相就任から8か月。自民党への逆風が吹く中、石破茂氏(68)は厳しい批判にさらされ、支持率も低迷している。その石破氏と交流のあるジャーナリストの深月ユリア氏が本人への直撃取材から〝愛妻家〟としての一面を聞き出した。
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トランプ関税、コメの値下げをはじめとする物価高対策、電気代補助、消費税減税などの課題が山積みの石破政権。5月30日に都内で開催された全国商工連合会の会合で石破氏は「1日3時間くらいしか寝ていない」と話した。
そんな同氏を40年以上支えてきたのが妻の石破佳子さんだ。2人はおしどり夫婦で石破首相は「永田町随一の愛妻家」として知られている。
石破首相と佳子さんは慶應義塾大学の同級生だ。昨年出版された石破氏の著書「保守政治家 わが政策、わが天命」(講談社)によると、同氏は大学時代に佳子さんと出会った時に「一目見て、こんなきれいな女性がいるのかと本気で思いました。それはもう、感動に近いものがありました」という。大学卒業時、佳子夫人に 「結婚を前提に付き合ってもらえませんでしょうか」と 人生で初めての告白をした。
一度は〝フラれた〟ものの、1981年に父の二郎氏が亡くなった際に佳子さんが香典を送ったことをきっかけに2人の仲は深まり、83年に結婚。それ以来、佳子さんは選挙で夫を支え、石破氏は86年に衆院選の鳥取県全県区で初当選した。佳子さんの明るく気遣いのある人柄は地元では大人気だそうだ。
石破氏は著書で「彼女は政治の話はしませんし、自分の配偶者を褒めることも決してしません。『皆さんのおかげで』と静かに感謝を伝えてくれる。それが多くの人の心に伝わるんです。すごい人ですよ」と綴っている。
今年5月2日、筆者が首相官邸で石破首相に取材した際、やはり「愛妻家」ぶりを発揮した。
4月末の外遊時に佳子さんが着ていた白い花柄のワンピースについて、インターネット上では「素敵」「お似合い」というコメントが多く見られる一方、庶民的な価格で買える服だったためか「下着のようだ」と批判的な報道もあったことについて、石破首相は率直な感想を述べた。
「私が見て素敵だなと思います。うちの奥さんには、ブランド志向はありません。似合っていれば、それでいいと思います」
議員時代に「逆側の考えを持つメディアにもあえて出演する」ことをアピールしていた石破首相だが、妻に対する批判報道に関して夫として反論。
「最初から批判することを決めている人は、高いものを着ていれば、『よくあんな高いものを。庶民離れしてるね』って言われるし、リーズナブルなものを着れば『ファーストレディーらしくない』とか言われます。やっぱりうちの配偶者としても(そのように言われるのは)決してうれしくはないと思います」と妻を思いやる姿勢を見せていた。