7月の参院選比例代表で、国民民主党から出馬する山尾志桜里元衆院議員(50)が10日、国会内で会見を開いた。記者団約80人の前で、約2時間半にわたって過去の不正支出や議員パスの不正利用問題、週刊誌で報じられた不倫疑惑について釈明した。
2017年に報じられた不倫疑惑について「(報道された男性と)現在は仕事、私生活で特段の交流はない。8年前にお話したように、そういった事実はない」と否定した。
記者団からは、不倫疑惑に対する質問が相次いだが、追及された山尾氏は「大変申し訳ありませんが、当時お話した以上のことをこの場で新しく、言葉を紡ぐことはどうかご容赦いただけたらと思います。それぞれの、いろいろな思いの方がいらっしゃいますし、いろんなお立場があります。そういう中で、私が今、新たに何かお話をすればご迷惑をおかけする。本当に申し訳ありませんが、新しくその件についてお話をさせていただくことは、勘弁いただきたい」と、詳しい説明は避けた。
ガソリン代の不正支出問題については、当時の秘書がガソリンスタンドにあった他人のプリペイドカードの領収書を経費として、支払い精算を受けていたとした。不正を認め、その秘書が全額弁済したとして「一切関わっておりません。気づかなかったことが、本当に恥ずかしいことだと思っている。監督責任を今でも痛感している」と、自身は関与していないと強調した。
議員パスの不正使用については「行き帰りで私的な用事を済ませていたのは事実です」と改めて認めた。「さらに申し訳なかったのは、当時の私の謝罪、謝罪のありようです。悪かったとはっきり説明をし、謝罪を申し上げるべきだった」とわびた。
過去の言動についての批判に「8年前の自分には、大変おごりがあった。8年前の自分の行動と対応の未熟さを心からおわびを申し上げます」と頭を下げた。
国政再挑戦を決意した経緯について「『山尾さんもう一度戻って、一緒にやろうよ』と言っていただきました」と、玉木雄一郎代表(56)から出馬オファーがあったことを明かした。「2020年9月に結党し(同年)12月に取りまとめた国民民主党の憲法改正の論点整理。これを2025年に、しっかり時代の要請に合わせてアップデートをしていく。これがまずは私の、一番の仕事だと思っております」と力を込めた。
皇位継承について、党の方針と違う考えをSNSなどで説明したことについて「安定的な皇位継承はとても大事だと思っています。その点について、きょうは申し上げるまでにさせていただきたい。きょうは言及は控えたい。党でしっかり議論して決まったことは、党の組織人として守っていくというのは当然のこと」と踏み込まなかった。
5月14日に国民民主党が擁立を発表後、SNS上で支持者などから疑問や反発の声が上がった。党の支持率が下がっている状況に「私の発表というのが原因の中にはあるんだろうというのを、その時率直に感じたのは事実」と振り返る。だが、出馬断念を考えたかという問いには「断念という気持ちになったことはない」ときっぱり答えた。
「現職の時代の自分の至らなさを心からおわび申し上げます。そして、もう一度再起のチャンスをいただくべく、本当に自らを顧み、そして信頼できる、国益を預けられる政治家として託していただけるよう全力で頑張りたいと思います」と、国政への決意を語った。
玉木氏や榛葉賀津也幹事長(58)に促される形で開いた出馬会見。くすぶるさまざまな疑念への“火消し”を図った山尾氏だったが、一部は火にガソリン…いや、油を注ぐ形になってしまった感は否めない。