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相模原の8連続窃盗、元刑事は「ノビ師」の手口と分析「引き出し開けたまま」に注目 侵入者と遭遇時の対応も解説

北村 泰介 北村 泰介
画像はイメージです(luckybusiness/stock.adobe.com)
画像はイメージです(luckybusiness/stock.adobe.com)

 神奈川県相模原市の住宅街で6月初旬に8件の窃盗事件が未明とみられる時間帯に相次いで発生した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏はその手口から「ノビ師」(忍び込み)の犯行と推測し、その実態と共に、室内で犯人と遭遇した時の対処法も説明した。

 現場はJR橋本駅から約4キロ離れた住宅街。5日早朝までに、複数の被害者から相次いで110番通報があり、現金や貴金属類が盗まれる被害が8件確認されたという。いずれも住人が就寝中に何者かが忍び込んで犯行に及んだと見られ、現場付近の防犯カメラには複数の人物が写っていたという。神奈川県警では連続窃盗事件として捜査を続けている。

 小川氏は「この事件は空き巣ではなく、家人が室内で就寝中に盗みを働く“忍び込み”という手口になります」と指摘。長年の捜査経験を元に、その根拠を次のように解説した。

 「今回は引き出しが全て開けっ放しだったということでした。引き出しは通常、手慣れた窃盗常習者の場合、下から開けていくのですが、閉めると音がする可能性があるので、引き出しを開けて物色した後は、そのままにしておくのです。この『引き出しを開けたまま』という手口からも忍び込みの経験がある者が犯行に及んでいるということが言えます」

 また、被害者宅ではガラス窓が割られ、その穴の近くにあった「クレセント錠」が開けられていた。「三日月(クレセント・ムーン)」のような半円形の金具の付いたカギだ。同氏は「ガラスを大きく割らずに、音がそれほどしないように小さく割り、そこからドライバーを入れてクレセント錠を解錠している」と付け加えた。

 さらに、小川氏は「侵入方法からも複数の者が関係している可能性があると思われるが、実際に侵入しているのは、1~2人くらいだと思われる。3~4人で侵入することは考えにくく、人数の多い犯行グループではないと思います。また、短時間に8件も起きたとなると一般の方は驚かれるかもしれないが、空き巣などは同じ犯人が付近で1日に十数軒連続で犯行に及ぶことも珍しくはない。私が現役時代には横浜で1日17件連続ということもあった。今回は、半径数百メートルの範囲内で、忍び込みの被疑者はまとめて犯行に及んだと見られる」と補足した。

 ところで、指示役のいる“闇バイト”を使った犯行の可能性はあるのだろうか。

 小川氏は「闇バイトで募集されてくる者は“素人”であり、こんなに手慣れた手口で忍び込みがやれるとは思えない。闇バイトのような素人集団ではなく、ある程度、手慣れた者の犯行と私は見ています」との見解を示した。

 その上で、同氏は「忍び込みをする者は『ノビ師』とも呼ばれます。『師』という文字が使われるほど、窃盗犯の中でも技術的に一番難しいと言われている。昼閒の留守宅ではなく、あえて家人が寝ている家を狙う。『人が寝ている部屋に入ることが一番難しい』と言われています。マンションなどの集合住宅でなく、一戸建てで部屋が複数ある家を狙うのですが、今回は人が寝ている隣の部屋を狙っていた。それだけ部屋数が多い大きい家がターゲットになった」と解説した。

 捜査について、小川氏は「住宅街や最寄り駅などの防犯カメラに写った者を照合していく。これだけの手口の者は過去に同種犯罪をしていた可能性があるので、防犯カメラの映像を神奈川県警だけでなく、警視庁や近隣の県警の刑事にも過去に取り扱ったかどうかも確認していく。鑑識で採取したゲソコン(足跡、靴跡)や指紋、侵入や物色の方法などの手口で容疑者が絞れる場合もあります」と説明した。

 就寝中に目が覚め、侵入者と遭遇した時の対策も必要になる。

 小川氏は「犯人を捕まえようとしないことです。あるいは、犯人に逃げ道をつくること。捕まえようとすると抵抗して何をされるか分かりませんから危険です。ただ、忍び込みは逃げることを優先するので、逃げ道をつくっておけば、危害を加えられる可能性も少なくなる。まずは自分の安全を第一に考えてもらいたい」と呼び掛けた。

 今回の件に限らず、決して他人事ではない。

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