兵庫県の斎藤元彦知事が4日、県庁内で開いた定例会見で、県の第三者委員会が「元西播磨県民局長の公用パソコン内の私的情報を県議3人に漏洩した」と認定した井ノ本知明（ちあき）前総務部長について、県議会の主要4会派が地方公務員法（守秘義務）違反容疑で刑事告発するよう申し入れたことについて「県としては、刑事告発というものは考えていない」と述べた。
斎藤氏は、県が井ノ本氏を停職3カ月の懲戒処分としたことを挙げ「あくまで告発するかどうかっていうのは、あくまで自治体などの判断が一定ある。懲戒処分によって、社会的な制裁も受けていることなどを踏まえて、刑事告発しないという判断をした」と説明した。
県議会の4会派（自民党、維新の会、公明党、ひょうご県民連合）は3日、斎藤氏による指示や関与について捜査機関による事実解明が必要と判断して、井ノ本氏の刑事告発を求める申し入れ書を服部洋平副知事に手渡し、10日までの対応を求めている。
斎藤氏は「きょう、ぶら下がり（取材）の方でお伝えさせていただきましたので、すでに報道等でも流れている。きのう服部副知事が受けたという形になりますので、期限があるとすればそれまでにどう回答するかっていうのは今後の検討だというふうに思っています」とした。
県の第三者委員会は「斎藤氏および片山安孝元副知事の指示のもとで県議会への根回しの趣旨で漏洩を行った可能性が高いと判断せざるを得ない」などと指摘している。
記者団から「私的情報を県議に対して根回しと称して伝えること自体、知事としてはどう思うか。根回しとして正当な業務だったのか、あるいは公務員としてやってはならないことだったのか」と問われた斎藤氏は「県保有情報の漏洩に当たる。それを懲戒処分の対象としたわけですから、やはり行為としては懲戒処分に該当する行為というふうに考えている」と回答。自身の関与については「これまで私が申し上げた認識の通りで、そういった指示をしたということはありません」と重ねて否定した。
