怪獣を模した「ソフトビニール人形」、略して「ソフビ」の人気が世界的に高まり、マニアの間でその価格が高騰しているという。収集家である芸人でコラムニストのなべやかんが、その実態をリポートする。
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ここ数年、キャラクターグッズの世界がすごい事になっている。「スター・ウォーズの日」(5月4日)に米国で行われた「ヘリテージ・オークションズ」のオークションでも撮影用「マンダロリアン・ヘルメット」が予想金額3倍以上の約2千万円で落札された。
コロナ禍の前まで、初期3部作の「ストーム・トルーパー」や「ライトセーバー」が出品されると約2千万円ラインで近年の物は数百万円ラインだったが、つい最近の物まで2千万円超えになってしまったので旧作の物はいくらになるのやら?
今年2月、TBS『マツコの知らない世界』でソフビ特集が放送され、ソフビに興味がない人たちにもソフビ世界が知れ渡った。第一次怪獣ブームの怪獣ソフビや第二次怪獣ブーム時代の怪獣やヒーロー物ソフビがコロナ禍から映画プロップ同様、値段が爆上がりしている。
〝ソフビ〟とはソフトビニール人形の事で、略してソフビ人形と呼ばれているが、人形も取れて「ソフビ」と呼ばれるのが一般的。そんなソフビは日本だけでなく海外でもコレクターがいてすごい人気だ。版権を取っている正規のキャラクターだけでなく、最近では無版権物と呼ばれるパチモノ(偽物)も急激に高騰している。
怪獣ソフビにプレミア値段が付き出したのが今から45年くらい前。その頃からソフビを集めている人たちにとってはパチモノ(※以下・パチ)が高値になっている事は理解し難い。
例えば、以前は版権物の仮面ライダーが1万円でパチが2千円だったとしよう。今はパチが20万円以上したりする。
1966年、テレビで『ウルトラQ』や『ウルトラマン』が放送され、玩具メーカーのマルサン商店がウルトラQに登場した怪獣ソフビを発売した。
最初期発売の怪獣は『ウルトラQ』に登場したガラモン、ゴロー、ゴメス、ペギラ、カネゴン、パゴスだった。その後、ゴジラやバラゴンの東宝怪獣が発売。怪獣ソフビの頂点はマルサン第一期発売のガラモン。ガラモン1期は過去にテレビ東京『開運!なんでも鑑定団』で何度か鑑定されているが、その時の価格は600万円。だが600万円は過去の話。数年前に『まんだらけ』オークションで900万円超えをした。ということはオークション手数料と消費税を足すと1000万円超えだ!
でも、こんな事で驚いてはいけない。噂レベルだが最近海外で5000万円で買ったコレクターがいるという話を聞き、溜息が出た。ガラモンは珍しいが世に出る回数で言えば同じマルサン一期のゴローやペギラの方が珍しいが、そちらは500万円ライン。
コレクターの年齢層が第2、第3次怪獣ブーム世代に移行したので、その時代のヒーロー物のソフビも急激に値上がりしている。今まで高くても十数万円だった物が100万円を超えて来たりするのでもう付いていけない。
最近では外国人のコレクターも増えていて、インスタグラムでコレクション写真が上がっているが、良い物を結構持っている。ただ目利きができていないのでリペイント(※塗り替え)物が多い。リペイントされると価値がグッと下がるのだが、気が付いていない人が多いね。
さらに贋作(がんさく)ってのもある。ソフビ工場から流出した肌色成型色を当時の塗装で塗って出回ってしまった。それを本物と信じて購入している人も多いので困ってしまう。
現代はオークションが主流だし、リサイクルショップでも取り扱うようになったので、ちゃんと鑑定できる人が減っている。当時のソフビが復刻される場合、かつては贋作を生まないためにオリジナルと同じ成型色で売らない配慮がされていたが、現在はそういった配慮がなくなっているので、この先も贋作誕生が続くだろう。インスタで見る当時物の怪獣ソフビ、リぺや贋作が多いよー。オークションで買う人も要注意!でもね、失敗して勉強しないと本物を見分ける力が付かないからなー。自分も何度も失敗しているしね。
怪獣ソフビにプレミア値段が付き出した当時の話を6月8日に都内で行われる『第3回ウルトラソフビフェスティバル』のステージで話すので、興味のある方は聞きに来てください。
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【第3回ウルトラソフビフェスティバル】6月8日12時〜17時、都立産業貿易センター台東館4F(東京都台東区花川戸2丁目6−5)で開催。問い合せ先はモグラハウス(電話.055・262・7799)。