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大河『べらぼう』福原遥が演じる禿上がりの遊女・誰袖登場!境遇は超悲惨だった!? 識者が語る

濱田 浩一郎 濱田 浩一郎
画像はイメージです(freehand/stock.adobe.com)
画像はイメージです(freehand/stock.adobe.com)

 NHK大河ドラマ「べらぼう」第17回は「乱れ咲き往来の桜」。主人公・蔦屋重三郎(演・横浜流星)を慕う誰袖(たがそで)が登場してきました。誰袖は吉原遊廓の大文字屋の遊女。禿(かむろ)上がりの振袖新造で、かつては「かをり」を名乗っていました。誰袖を演じるのは、女優の福原遥さんです。誰袖は禿上がりと述べましたが、では禿とはどのようなものだったのでしょう。

 江戸時代において「勾引」(かどわかし)=誘拐犯は男女を誘拐しておりましたが「少女」もその対象となりました。勾引により連れ去られ「東西も分からぬ所へ引き込まれ」、情なき人々の手に渡った少女。そういった少女は「忘八」(遊郭経営者)のもとへ売られることもありました(親により売られる少女もいました)。

 遊郭に入った少女は「禿」(かぶろ。江戸時代の遊廓に住む童女のこと)と呼ばれます。『世事見聞録』(江戸時代後期の随筆)によると、7・8歳の年頃より禿と呼ばれ、少女は厳しい「仕付け」(躾)を受けたようです。いや、それは躾と呼ばれるものではなく、筆者に言わせれば虐待です。

 ある時は大きなお灸を据えられ、朝は早く起こされ、夜は「寒夜」に凍え、夏の夜も眠ることはできず…自分の親の生死も知らず、どこの国の誰ということもしかとは分からず、兄弟のあることも忘れてしまう。ただ主人(遊郭の主人)の強く恐ろしいこと、奉公が大切だということのみが骨身に染みていく生活。

 日々の苦労は大変なものでしたが、少女は既に籠の中に閉じ込められたも同然であり、外に頼る人もないのでどうすることもできません。よってどのような呵責にあったとしても他所に出ることはできず。そうなると「世間の事は露ばかりも知らず」という状態になって忘八を「主」とも「親」とも思い、大切に思い込むようになるのでした。

 少女(禿)が日々、見ることになるのは「姉女郎」(先輩の遊女)の「髪飾り」「化粧」「衣装」などでしたから、少女もまた早く成長して「姉女郎」のようになりたいと願うのです。「よき女郎」になったならば主人に叱られることも減るであろうし、髪化粧も自由になる。美しい衣装も着れる。美味しいものも食べられる。そうしたことを幼心に思い、心を励まして「終に苦界の淵」に嵌まり込んでしまうと『世事見聞録』は主張するのでした。

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