新教皇を決める選挙(コンクラーベ)は、5月7日から開始される。約14億人の信者を持つローマカトリック教会の枢機卿らが世界中から集結し、世界最古かつ、最も秘密主義的な選挙の1つとされている。
偶然にも現在公開されている映画で、米アカデミー賞脚色賞を受賞した「教皇選挙」(エドワード・ベルガー監督)への関心は高まっており、日本でも興行収入が一気に上がっているという。謎めいている「秘密投票」は実際にどのような流れで行われるのか、集計結果の発表方法などを紹介する。
◆どこで行われる
新教皇を決める選挙(コンクラーベ)は、バチカン宮殿にあるシスティーナ礼拝堂で行われる。ミケランジェロの名画「最後の審判」が祭壇に描かれていることでも知られる。期間中は電話やテレビ、インターネットなど、外部との連絡手段を使うことができない。
◆参加者は?
80歳未満の枢機卿が参加可能。教皇フランシスコが死去した時点では135人いたが、全員が出席するかは分からない。次期教皇は選挙人である必要はないが、選挙人からの選出が慣例となっている。
今回の選挙人の出身国は71カ国。前回2013年は48カ国だった。イタリアは最多17人の枢機卿を擁している。80歳以上の枢機卿は、選挙前に毎日開催される非公開の総会に参加できる。
◆投票
初日は1回のみ、以降は1日に2回投票することが可能。バチカンに詳しいフィリップ・プルレラ氏によると「枢機卿らはそれぞれ、用紙にラテン語で『私は◯◯を教皇に選ぶ』などと記入。手書きだが、筆跡をごまかすことが求められる。十分な得票数があれば教皇が決定。足りなければ再度行われる」という。
およそ13日後に誰も選ばれなかった場合、候補者2人で決選投票を行う。候補者が投票総数の少なくとも3分の2を獲得するまで続けられる。
◆発表方法
投票用紙が回収されると、燃やされ、礼拝堂の煙突から煙が上がる。決まらなかった場合は黒、決まった場合には、特殊な薬品を使って白い煙が上げられる。
◆これまで
史上最長の期間を要したのは、1268年に教皇クレメンス4世が亡くなった後に行われたもの。教皇グレゴリウス10世が選出されるまで約3年9カ月を費やしたとされる。21世紀以降は、今回が3度目のコンクラーベとなり、2005年、13年はそれぞれ2日間で選出されている。