80、90年代“走り屋文化”の痕跡「走り屋スポットの崖下に遺った物たち」が話題 なぜか「ネクタイ」も!?

中将 タカノリ 中将 タカノリ

「走り屋スポットの崖下に遺った物たち」と題する一連の投稿がSNS上で大きな注目を集めている。投稿の主は漫画家の隼のぶをさん(@HYBSNBW)。

峠の崖下など走り屋ブームだった1980年代~90年代頃の痕跡を巡り、そこにあった車やバイクなどの残骸を紹介する隼さん。今よりはるかに車文化が盛り上がっていた時代の痕跡としてたいへん興味深いが、中には事故や不法投棄の遺留品と思われるものもあり、見る者を複雑な気持ちにさせる。

隼さんはどんな思いで活動を続けているのか。話を聞いた。

ーー探索活動の経緯は?

隼:1980年代から2000年代に入るまでの期間は走り屋の全盛期であり、日本各地の峠でローリング行為が繰り返されました。私自身、かつて峠を走っていた経験もあったため、昔の走り屋文化に興味がありました。

そこで、昨年5月に地元兵庫県の峠の崖下を探索したところ、山肌に大量のかつての走り屋の残留物が見つかりました。以来、かつての走り屋文化を知るため、各地の峠の崖下を探索しております。

ーー印象深かった発見は?

隼:いろいろありましたので一つづつ紹介します。

「ヤマハ FZR250のアッパーカウル」

FZR250は80年代後半頃のバイクで、走り屋全盛期の頃のバイクです。走り屋に事故は付き物ですが、かなり割れて元の形を成していないこのカウルには驚きました。元のオーナーが無事なのかどうか心配です。

「マツダ RX-8のバンパー」

RX-8とは比較的近年の走り屋から人気の車です。80年代、90年代の車の部品は山中でよく見かけますが、近年の車の部品はあまり見かけないため、インパクトがあるのと同時に、きちんと部品は自分で持ち帰るようにしてほしいという気持ちがあります。

「まるごと棄てられたホンダ ダックス」

ダックスとは1969年から販売が続いている人気シリーズのバイクです。走り屋バイクでないことや、ホイールやエンジンなどの部品がないことから考えて事故ではなく、不法投棄でここにあると思われます。 よく崖下に打ち捨てられた車やバイクは事故によるものと思われがちですが、私のこれまでの探索の経験からすると、不法投棄の可能性が高いものが8割くらいを占めています。

「リトラカバー リトラ」

「リトラクタブル・ヘッドライト」の略ですが、70年代から00年代までのスポーツ傾向の強い車に装着された開閉式のヘッドライトです。 現在では法律により採用されなくなった方式のヘッドライトなので、こうした部品は時代を感じることができます。

「ネクタイ」

走り屋とまったく関係ない物でありますが、このネクタイをしていた人間にどんなドラマがあり、ネクタイがここに落ちたのか気になります。

ーーご投稿に対し大きな反響がありました。

隼:多くの反響をいただき、思った以上に世の中には崖下に落ちているものに興味がある人が多いのだと驚いております。80年代、90年代当時の走り屋文化が知れる場として、不法投棄の賛否の話は置いておき、峠の崖下というのは大変興味深いところであると思っています。

しかし、一方で峠の崖下は悲しい場所でもあります。身勝手な人間に棄てられた「物」、そして峠で散っていった走り屋の魂がそのまま山に眠っています。私は、私の投稿を通して峠の崖下の光景を知ってもらうことで、崖下に落ちた時、愛車が、自分自身が、どういった結末を迎えるのか、少しでも考えるきっかけになってほしいと思っています。

走ることは楽しいことであり、生きてることを実感できるスリル溢れる遊びです。ただ、楽しい遊びには楽しければ楽しいほどリスクが伴います。峠での事故が一件でも減ることを私は心から祈っております。

◇ ◇

SNSユーザー達から数々の懐かしむ声や驚きの声が寄せられている一連の投稿。当時の走り屋文化に属した若者たちの光も闇もうずめた崖下の風景。読者のみなさんはどのように感じるだろうか。

隼のぶをさん関連情報

Xアカウント:https://x.com/HYBSNBW

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース